個人事業主に顧問税理士は必要?依頼するメリット・判断基準を解説

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個人事業主に、顧問税理士は必要なのでしょうか?「確定申告は自分でできるから問題ない」という声もあれば、「専門家にサポートしてほしい」という意見も見受けられます。

そこで本記事では、個人事業主に対する税理士の必要性から、依頼するメリットや選ぶ基準まで解説します。税理士に依頼すべきか迷っている場合には、ぜひ参考にしてください。

目次

なぜ「個人事業主に税理士はいらない」と言われるのか?

個人事業主には、税理士は不要と思うかもしれません。では、なぜ個人事業主に税理士はいらないと言われるのでしょうか?主な理由は、以下の通りです。

会計ソフトの進化で確定申告が簡単になった

近年では、クラウド会計ソフト(freeeやマネーフォワードクラウド)が進化しています。銀行口座やクレジットカードと自動連携でき、取引データも自動で取り込めるソフトも増えています。確定申告書の作成も、質問に答えるだけで完了し、e-Taxでの電子申告にも対応しているケースが大半です。

また簿記の知識がなくても、直感的に操作しやすい会計ソフトも多いです。会計関連の業務を個人で完結できるようになった結果、「税理士は不要」と考える個人事業主も増えています。

顧問料(費用)が事業の負担になる

税理士への顧問料は、月額で1万円~5万円程度が相場です。年間で考えると、12万円~60万円ほどの支出となります。記帳代行も依頼すれば、さらに費用が上乗せされることもあるでしょう。事業を始めたばかりの個人事業主にとって、顧問料や記帳代行にかかる費用は大きな負担になりがちです。その結果として、資金繰りを圧迫する可能性があります。

事業規模が小さいうちは自分で対応できる

個人事業を始めたばかりの頃は、取引先や取引内容が限定的で、会計処理もそれほど複雑ではありません。たとえば、フリーランスのデザイナーやライターであれば、売上の計上と経費の処理程度で済むケースも多いでしょう。単純な取引であれば、会計ソフトの機能や国税庁のホームページ、YouTubeなどの情報を活用して対応することも可能です。

また、青色申告会(年会費1万円程度)や商工会議所(年会費数千円から)を利用すれば、税理士の顧問料よりも安いコストで、確定申告のサポートを受けられます。こうした低コストの選択肢があることで、税理士に依頼する必要性を感じにくくなります。

税理士とのコミュニケーションや資料準備が面倒

税理士に依頼する場合、レシートや請求書、通帳のコピーなどを整理して送付する必要があります。また不明な取引があれば、電話やメールで説明を求められることもあるでしょう。さらに、税理士との打ち合わせの時間を調整したり、専門用語での説明を理解したりする必要もあります。その結果、「結局自分で資料を整理するなら、最初から自分でやった方が早い」と考える個人事業主も見受けられます。

個人事業主が税理士に依頼する7つのメリット

税理士は法人が利用するものと思われがちですが、個人事業主にとっても多くのメリットがあります。主なメリットは、以下の通りです。

経理・申告業務から解放され「本業に集中」できる

日々の記帳作業や確定申告書の作成は、直接的な売上を生まない業務です。これらの作業を税理士に任せることで、営業活動・商品開発・サービスの改善など、売上に直結する本業に集中できるようになります。たとえば、経理に月20時間かけていた時間を営業活動に使えば、税理士費用を上回る売上アップも期待できるでしょう。

正確な会計処理と申告で「税務リスク」を回避できる

個人で会計処理をしていると、経費の計上を間違えたり、所得控除の適用を見落としたりするリスクがあります。また、税法は毎年改正されるため、最新情報を把握し続けるのは困難だといえます。税理士に依頼すれば、最新の税法に基づく正確な処理が保証され、税務調査での指摘や追徴課税のリスクも回避しやすくなります。税理士に依頼する安心感は、精神的な負担も軽減してくれるでしょう。

効果的な「節税対策」(適正納税)を提案してもらえる

税理士に依頼すれば、個人では気づかないような節税対策も提案してくれます。たとえば、青色申告特別控除の最大活用、小規模企業共済への加入など、事業形態に応じた節税方法をアドバイスしてもらえるでしょう。年間を通じて計画的に節税対策を実施することで、税理士費用を上回る節税効果を得られるケースも少なくありません。

「税務調査」の不安が解消される(立会い・交渉)

個人事業主にも、税務調査が実施されることがあります。調査が行われる場合に、顧問税理士がいれば心強いでしょう。税理士が窓口となって対応し、必要な資料の準備から調査当日の立会いまで一任します。税務署との議論や交渉も税理士が代行するため、事業主が直接対応する必要がありません。普段から適正な会計処理を行っていることで、調査での指摘事項も最小限に抑えられるでしょう。

融資や補助金など「資金調達」のサポートが受けられる

金融機関からの融資を受ける際には、信頼性の高い決算書や事業計画書の作成が不可欠です。税理士に書類作成を依頼すれば、「税理士が関与した書類」だとみなされることから、融資審査においてプラス要因となります。また、各種補助金や助成金の申請においても、適切な会計処理がなされていることが前提となるため、申請の成功率アップが期待できます。

経営状況の客観的な把握と「経営相談」ができる

一人で事業を進めていると、主観的な判断になりがちです。すると、楽観的な見通しを立てたり、逆に過度に悲観的になったりと、感情に左右された判断をすることがあります。

税理士に依頼すれば、数字に基づいた客観的なアドバイスを受けられます。「今は設備投資すべき時期か」「どの経費を削減すれば効果的か」など、具体的な経営相談にも応じてもらえるでしょう。

法人成りや事業承継の相談もスムーズ

個人事業が軌道に乗り始めると、法人成り(会社設立)を検討するタイミングが訪れます。しかし、法人化する適切な時期がわからない人も多いでしょう。税理士がいれば、最適なタイミングをアドバイスしてもらえます。実際に法人成りする際に、手続きをサポートしてもらうことも可能です。また、将来的な事業承継や相続についても、早い段階から相談できるでしょう。

法人化すべきか迷っている場合には、以下の記事も参考にしてください。
あえて「法人化しない」という理由は?|後悔しないための判断基準を解説

個人事業主が税理士への依頼を検討すべき「4つのタイミング」

ここでは、個人事業主が税理士に依頼を検討すべき「4つのタイミング」について解説します。自身の状況と照らし合わせつつ、早速チェックしてみましょう。

「年間売上1,000万円」を超えた(または超えそうな)時

年間売上が1,000万円を超えると、2年後から消費税の課税事業者となります。消費税の計算は所得税より複雑で、仕入税額控除の計算や軽減税率の適用など、専門的な知識が必要になります。また消費税の申告でミスをすると、税務調査で厳しくチェックされ、追徴課税を受けるリスクが高くなります。

売上1,000万円に近づいてきた段階で税理士に相談しておけば、消費税の課税事業者になる2年前から準備を始められます。申告時期になっても、慌てずに済むでしょう。

インボイス制度登録で「課税事業者」になった時

インボイス制度で課税事業者を選択した場合も、税理士への依頼を検討すべきタイミングの1つです。2023年10月から開始されたインボイス制度により、売上1,000万円以下の小規模事業者でも、取引先から「インボイス(適格請求書)を発行してほしい」と求められるケースが増えています。インボイスを発行するには課税事業者になる必要があり、結果として消費税の申告義務が発生します。

売上が少なくても、消費税の計算は複雑です。本則課税・簡易課税の選択や税率の区分など、専門知識が必要な処理も多いため、個人での対応はむずかしいでしょう。

「新規開業」した時

事業を開始する際には、税務署への開業届をはじめ、「青色申告承認申請書」や「青色事業専従者給与に関する届出書」など、期限のある重要な手続きが多数あります。これらの手続きを怠ると、青色申告特別控除などの税制優遇が受けられなくなります。

また新規で開業した際には、適切な経理体制の構築や会計ソフトの選定、創業融資の相談など、事業の土台を整備する必要があります。最初の設計を間違えると後で修正が大変になるため、開業時に税理士のアドバイスを受けておくと安心です。

経理業務が「本業を圧迫」し始めた時

記帳作業や申告準備に多くの時間を取られ、「営業活動に集中できない」と感じ始めたら、外部委託を検討すべきサインだといえます。領収書の整理に何時間もかかったり、仕訳の判断に迷って作業が止まったりする状況が続くと、本来の事業活動に支障をきたす可能性があります。税理士に依頼すれば、時間的・精神的な負担からも、解放されやすくなるでしょう。

個人事業主のための「顧問税理士の選び方」チェックリスト

個人事業主が税理士に依頼することで、多くのメリットがあるとわかりました。実際に税理士を選ぶ際には、以下の内容をチェックするとよいでしょう。

あなたの業界・業種への専門性と実績があるか

税理士によって、得意とする業界や業種は異なります。たとえば個人事業主の仕事がIT・Web系であれば、依頼する弁護士には、システム開発費の取扱いや外注費の判定などの知識が必要です。飲食業なら、食材の仕入れや廃棄ロスの処理といった知識が求められます。

また、税理士の「個人事業主をサポートした実績」についても、チェックすることが大切です。個人事業主の顧客を多く持つ税理士であれば、青色申告特別控除や家事按分など、個人事業主特有の制度を熟知しています。そのため、適切な申告サポートや経営アドバイスを受けられるでしょう。

コミュニケーションの相性とレスポンスの速さ

税理士とは、売上や経費といった事業のお金に関わる情報を共有し、長期間にわたってサポートを受ける関係になります。そのため、レスポンスの速さや説明のわかりやすさ、自身との相性なども確認しておくことが大切です。またメールや電話だけでなく、チャットツールやオンライン面談など、多様な連絡手段に対応しているかも確認しておきましょう。コミュニケーション方法の選択肢が多いと、緊急時の相談や日常的なやり取りがスムーズになります。こちらの質問に対して、親身に答えてくれるかもチェックしたいポイントです。

節税や経営助言に「積極的」か

頼りになる税理士は、記帳代行や申告書作成を行うだけでなく、積極的に節税対策や経営改善の提案もしてくれる傾向にあります。たとえば、「来年は設備投資を前倒しした方が有利です」や「小規模企業共済への加入を検討しませんか」など、先回りしたアドバイスが期待できます。

税理士の積極性を判断する際には、無料面談などで、「同業のお客様にはどのような提案をしていますか?」などと、具体的に質問してみましょう。「相談があれば対応します」という回答しか得られない場合は、能動的なサポートは期待できないかもしれません。

IT・クラウド会計に対応しているか

個人事業主にとって、クラウド会計ソフトへの対応は必須条件です。クラウド会計を活用すれば、銀行データの自動取り込みやリアルタイムでの損益チェックが可能になります。しかし、税理士が対応していなければ、これらのメリットを十分に活かせません。税理士がクラウド会計に対応していれば、同じシステムを共有して資料のやり取りをスムーズに行えます。月次の数字も、タイムリーに確認できるでしょう。

料金体系が明確か(契約範囲の確認)

契約前に、料金体系を確認することは重要です。なぜなら、月額顧問料に含まれるサービス範囲に制限があり、自分が希望するサービスを受けられない可能性があるからです。ほかにも、顧問料のほかに別途費用がかかるケースも見受けられるため、オプション料金の確認も必須です。透明性のある料金体系を提示し、契約範囲を明確に説明してくれる税理士を選ぶことで、将来的なトラブルを避けやすくなります。

税務調査の経験・対応力は十分か

万が一税務調査が行われた際に、税務調査の経験が豊富な税理士と契約を結んでいると安心です。経験豊富な税理士であれば、調査の流れを熟知していることから、税務署と適切に対応してもらえます。

税務調査の経験を確認する際には、過去の税務調査での対応実績や、調査時の具体的な対応方法について確認するとよいでしょう。「調査があっても大丈夫」と自信を持って言える税理士であれば、普段の会計処理も適正に行われている証拠だといえます。

他の専門家(社労士・弁護士など)との連携があるか

事業を行うと、税務以外の問題も発生します。従業員を雇う際の労務手続きや取引先との契約書チェック、新規事業の許可申請など、それぞれ専門家が必要になります。

その際に、税理士が社会保険労務士や弁護士などとのネットワークを持っていれば便利です。税理士を窓口として「労務なら○○先生」「契約書なら△△先生」と専門家を紹介してもらえるため、自分で探す手間が省けます。契約前に「他の専門家とのネットワークはありますか?」と確認しておくとよいでしょう。

税理士をお探しの個人事業主の方は二見達彦税理士事務所にご相談ください

個人事業主も税理士に依頼することで、さまざまなメリットがあります。本記事で解説したように、適切なタイミングで、信頼できる税理士に依頼することが大切です。

二見達彦税理士事務所では、個人事業主の事業ステージに応じて、きめ細かなサポートを提供しています。個人事業主のサポート実績も豊富です。

「税理士に依頼すべきか迷っている」「自分に合った税理士を見つけたい」という個人事業主の方は、二見達彦税理士事務所までお気軽にご相談ください。

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