税理士とのスポット契約とは?顧問契約との比較ポイントを解説

確定申告や会社設立など、特定の業務を単発で依頼したい場合に、税理士とのスポット契約を考える人もいるでしょう。また料金を考えた際に、スポット契約を検討するケースも見受けられます。実際にスポット契約は、どのような企業や状況に適するのでしょうか?本記事では、スポット契約のメリット・デメリットをはじめ、おすすめの企業についても解説します。税理士とのスポット契約でお悩みの場合には、ぜひ参考にしてください。
税理士の契約は「スポット契約」と「顧問契約」の2形態
税理士との契約には、業務を単発で依頼するスポット契約と、継続的なサポートを受けられる顧問契約の2つがあります。それぞれ、サービス内容やニーズが異なるため、自社の状況に応じて最適な方法を選ぶことが大切です。
ここでは、両者の違いについて見ていきましょう。
スポット契約とは?
スポット契約とは、継続的な関係を結ぶのではなく、特定の業務が発生した際に単発で依頼する契約形態です。たとえば、年に一度の「法人税の申告書作成」や、起業時の「会社設立手続き」などで利用されます。ほかにも、突然の「税務調査の立ち会い」などでも活用されます。必要なサービスを、必要なタイミングでピンポイントに依頼できるのがスポット契約の特徴です。
顧問契約とは?
顧問契約とは、契約を結び、税務や会計に関するトータル的なサポートを継続的に受けられる契約形態です。一般的には、1年単位で契約することが多いでしょう。毎月一定の顧問料を支払うことで、企業のパートナーとして多岐にわたるサービスが提供されます。日々の記帳代行や税務相談はもちろん、決算を見据えた計画的な節税対策の提案や、資金繰りに関する経営アドバイスまで対応します。
▼税理士に依頼できる業務内容を知りたい場合には、こちらの記事もおすすめです。
税理士はどこまでやってくれる?依頼できる具体的な業務範囲を詳しく解説
税理士にスポット契約で依頼するメリット
まずは、税理士にスポット契約で依頼するメリットについて、見ていきましょう。主なメリットは、以下の通りです。
税理士費用を軽減できる
スポット契約は、依頼する際に料金を支払えば良いため、毎月発生する「顧問料」という固定費がかかりません。年間のトータルコストで比較すると、顧問契約よりも費用を安く抑えられることが多いでしょう。そのため、限られた予算内でサポートを受けたい場合や、できるだけ費用を抑えたい場合に、有効な選択肢となり得ます。
必要な業務に限定して依頼できる
スポット契約では「決算申告書の作成だけ」「税務調査の立ち会いだけ」など、特定の業務に焦点を当てて発注できます。たとえば普段の経理処理は社内で行い、専門知識が必要な複雑な業務のみを税理士に依頼すれば、コスト面でも効率的です。また、事業承継やM&A、組織再編といった一時的に発生する特殊な案件にも対応しやすいでしょう。
事業規模が小さい時期の負担を最小限にできる
売上がまだ安定しない創業期や、取引内容が小規模な事業者にとって、毎月の固定費は可能な限り削減したいものです。スポット契約であれば、本当に必要なタイミングでのみ専門家のサポートを受けられるため、支払いの負担を最小限に抑えられるでしょう。事業が成長し、複雑な税務相談が増えた段階で、顧問契約に切り替えることも可能です。
税理士にスポット契約で依頼するデメリット
税理士にスポット契約をする場合、メリットがある一方でデメリットも存在します。主なデメリット内容は、以下の通りです。
継続的な節税対策や経営アドバイスが受けられない
スポット契約だと、その都度依頼するため、税理士とは単発の関係性になります。そのため、継続的な節税対策や経営アドバイスを受けるのはむずかしいでしょう。なぜなら、効果的な節税は期中から計画的に実行する必要があり、決算日を過ぎてから慌てて相談しても打てる手は限られるからです。同様に、スポット契約では日々の経営状況を把握してもらえないため、資金繰りなどに関するタイムリーなアドバイスも期待できません。
決算期まで業績が把握しにくく、経営判断が遅れるリスクがある
スポット契約では、税理士との接点が限定されるため、日常的な業績状況を正確に把握することはむずかしいといえます。たとえば、「売上が落ちているけれど、このままで大丈夫?」といった疑問が生じても、気軽に相談しにくいでしょう。
また相談は可能でも、その都度料金が発生したり、的確なアドバイスを得られなかったりします。その結果、資金繰りが悪化してから慌てて対策を講じたり、事業拡大のチャンスを逃したりする可能性もあります。
税務調査への対応が別料金や割高になりがち
税務調査が入った際、スポット契約では、対応してくれる税理士を探すところからはじめなければなりません。またスポットでの依頼は緊急対応となるため、料金が割高になる傾向にあります。さらに、会社の事業内容や過去の経理状況を十分に把握していない税理士に任せることも気になる部分です。短時間で会社の状況を理解してもらうのはむずかしく、調査官に対して的確な説明や主張ができないリスクも考えられます。
経理処理を自社で行うため、ミスが発生しやすい
スポット契約では、日々の記帳や経理処理は自社で行うことが前提です。経営者や担当者に十分な会計知識がない場合、処理を間違えたまま申告する危険性も否定できません。処理方法や計算などを誤ると、後から修正申告が必要になり、加算税や延滞税が課されるリスクもあります。間違いに気づかずに数年間継続してしまうと、問題が大きくなる可能性があるでしょう。
税理士と顧問契約を結ぶメリット
つづいて、スポット契約ではなく、顧問契約を結ぶメリットについて解説します。主なメリットは、以下の通りです。
役員や管理職が本業に専念しやすくなる
顧問契約を結べば、時間のかかる経理・税務業務を専門家に一任できます。その分、役員や管理職は営業活動やサービス開発など、本業にリソースを集中することが可能です。特に中小企業では、経営陣が多くの業務を兼任する傾向にあります。専門性の高い税務業務を外部に委託することで、より戦略的な経営判断に集中できる環境を作り出せるでしょう。
タイムリーな業績把握で、経営判断の精度が向上する
顧問契約では、多くの場合、月次での面談などを通じて毎月の業績を報告してもらえます。年に一度の決算時にまとめて過去の数字を見るのとは異なり、月次での面談などを通じて、毎月の業績を細かく確認できます。これにより、「なんとなく調子が良い」といった感覚的な経営から脱却し、正確なデータに基づいた的確な経営判断が可能になります。さらに、資金繰りが悪化するなどの危険信号も早期に察知できるため、問題が深刻化する前に、適切なアドバイスを受けることが可能です。
計画的な節税対策が可能になる
顧問税理士は、月々の業績を把握しているため、決算が近づくと正確な利益予測を立てることが可能です。その予測に基づき、「今年は利益が大きくなりそうなので、このタイミングで設備投資をしませんか」や「役員報酬の見直しで税負担を最適化しましょう」といった提案ができます。年間を通じて戦略的に税負担をコントロールできるため、結果として大きな節税効果も期待できるでしょう。
税務調査の対応を一任できる
税務調査の連絡が来た場合にも、「いつもお願いしている税理士」がいることは安心材料になり得ます。顧問税理士がいることで、会社の盾となってくれるからです。また、普段から会社の経理状況や事業内容を理解しているため、調査官に対しても的確な説明や主張ができます。経営者自身が直接対応する負担が軽減されるだけでなく、不利な指摘を受けるリスクも抑えられるでしょう。
税理士と顧問契約を結ぶデメリット
税理士との顧問契約には、デメリットも存在します。主なデメリットは、以下の通りです。
毎月の顧問料(固定費)が発生する
顧問契約をすると、毎月一定の顧問料が発生します。この費用は、会社の売上や利益が少ない月でも支払わなければならない固定費です。事業が軌道に乗る前の創業期や、季節によって売上が大きく変動する業種にとっては、毎月の固定費が資金繰りを圧迫する要因になりかねません。そのため、自社のニーズを考慮したうえで、提供されるサービス内容と顧問料のバランスが適切かを見極める必要があります。
「年1決算型」の顧問契約は実質スポット契約と変わらないことも
「顧問契約」という名称でも、税理士との面談や相談が年1回の決算時のみに限定されているケースがあります。「年1決算型」では、月中の経営相談やタイムリーな節税対策のアドバイスを受けることはむずかしいでしょう。実質的に、スポット契約とサービス内容に大差がない可能性があります。そのため、名ばかりの顧問契約には、注意が必要です。
「スポット契約」と「顧問契約」が適しているそれぞれのケース
実際のところ、自社の場合には、スポット契約と顧問契約のどちらが向いているのでしょうか?ここでは、スポット契約と顧問契約について、それぞれ適するケースを紹介します。
スポット契約が適している企業
スポット契約は、コストを優先したい場合に適しています。たとえば、起業したばかりで売上が不安定な時期や、毎月の固定費を少しでも抑えたい企業です。また、経営者自身に経理知識があり、日々の帳簿付けを自社で行える場合も、決算申告のみを依頼する形で十分でしょう。取引内容がシンプルで仕訳数が少ないフリーランスの方なども、必要な時だけ専門家の力を借りるスポット契約が適します。
顧問契約が適している企業
顧問契約は、事業が成長している企業や、コスト以上のメリットを求める企業に適しています。売上が安定・拡大し、経営者が経理業務から離れたい場合や、法人成りして会計処理が複雑になったケースが代表的です。また計画的な節税や税務調査への備えなど、経営の安定と成長を目指すなら、顧問契約が有力な選択肢になるでしょう。
契約形態でお悩みの方は二見達彦税理士事務所にご相談ください
本記事では、税理士との「スポット契約」と「顧問契約」を比較し、それぞれのメリット・デメリットを解説しました。コスト重視ならスポット契約、事業の成長と安定を目指すなら顧問契約が適していますが、最適な選択は企業の状況によって異なります。
私たち二見達彦税理士事務所では、お客様の事業ステージや将来の展望を伺い、本当に必要なサポートは何かを一緒に考えて最適なプランをご提案します。自社に合う契約形態でお悩みでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。
