銀行融資の審査を徹底解説|経営者が知るべき流れ・期間・重要ポイント

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企業経営をしていると、多くの資金が必要になることがあります。その際に、銀行からの融資を検討する人も多いのではないでしょうか?しかし、「審査に通るのだろうか」「どのような準備が必要なのか」と疑問に思うかもしれません。特に初めて融資を申し込む場合には、審査の流れが分かりにくく、戸惑うケースも見受けられます。

そこで本記事では、銀行融資における審査の流れやポイントについて解説します。

目次

銀行融資の審査とは

銀行融資の審査とは、銀行が融資を希望する人に対して、「お金を貸しても大丈夫か?」を見極めることです。銀行は、預金者から集めた資金を元手に企業へ融資を行い、その際に得られる利息を主な収益としています。しかし、貸したお金が返済されない「貸し倒れ」が起きると、銀行は損失を受けてしまいます。そこで銀行は、融資を行う前に審査を実施するのです。

審査では、企業の財務状況だけでなく、業界の将来性や経営者の人柄など、さまざまな観点から返済できるかを調べます。その際に、決算書の数字をはじめ、事業内容や市場の状況も含めて厳しくチェックします。

融資の種類で変わる審査の視点

同じ融資でも、お金の使い道によって銀行が重視するポイントは異なります。たとえば、日常的な仕入れ代金や人件費といった運転資金の場合には、毎月の売上や資金繰りの状況が重点的にチェックされるでしょう。一方で、新しい機械の導入や工場の建設といった設備資金では、投資によってどれだけ業績が伸びるかという将来性が重視されます。また、これから起業する場合には実績がないため、経営者自身の経験・熱意・事業計画の実現度合いなどが決め手となります。

銀行融資申し込みから実行までの全体像

銀行融資は、申し込みから実行(入金)までにさまざまな手続きが必要であり、即日行われるものではありません。審査を含め複数の段階を経ることになるため、事前に一連の流れを理解しておくと良いでしょう。ここでは、相談から融資実行までの「一般的な6つのステップ」について、順を追って解説します。

ステップ1:事前相談・申し込み

まずは取引金融機関の窓口などで、融資の相談をします。その際に、自社の事業内容・資金が必要な理由・希望額について、具体的な説明をしましょう。

銀行担当者は、融資希望者から説明を受けた内容にもとづき、融資の可否や必要書類を判断します。相談の結果、銀行側が前向きな姿勢を示してくれた場合には、正式な申し込みへと進む流れです。

ステップ2:必要書類の提出

申し込み手続きでは、審査に必要な書類を提出します。代表的な書類として、決算書・試算表・事業計画書が挙げられます。これらの書類は、企業の財務状況を「過去・現在・未来」という異なる時間軸から評価します。

  • 決算書: 「過去」の成績
  • 試算表: 「今」のリアルタイムな業績
  • 事業計画書: どのように返済するかという「未来」の計画書

その他、会社の基本情報を示す登記簿謄本や、公的な義務を果たしていることを示す納税証明書なども必要です。

ステップ3:担当者との面談

書類を提出すると、担当者との面談が行われます。ここでは、書類からは読み取れない経営者の事業に対する熱意・ビジョン・人柄などが評価されます。

同時に、事業計画書などの数字について、経営者本人による説明も必要です。自社の強みや将来性、具体的な返済計画を明確に語ることで、信頼を得やすくなります。どのような質問にも的確に答えられるよう、準備を万全にしておきましょう。

ステップ4:現地調査・実地調査(必要に応じて)

設備資金の融資や、新規の金融機関を利用する場合、担当者が会社を訪問する「現地調査」が行われることもあります。目的は、「事業計画書に沿って事業が運営されているか」や「事務所や工場が実際に稼働しているか」を、担当者が自分の目で直接確認することです。飲食店なら厨房の様子、工場なら機械の稼働状況、小売店なら在庫管理の方法といった、具体的な事業の実態がチェックされます。なお現地調査は、すべての融資審査で行われるわけではありません。

ステップ5:審査結果の通知

面談や調査が終わると、銀行内部での本格的な審査が始まります。担当者が作成した稟議書(りんぎしょ)が、支店責任者・本部の審査部門へと回付され、承認を求めるのが一般的な流れです。

審査過程では、最終的な融資額・金利・返済期間といった貸出条件が正式に決められます。審査期間は数週間から1ヶ月ほどが目安で、無事に通過すると担当者から結果の連絡があります。提示された条件に納得できれば、契約手続きに進む流れです。

ステップ6:融資契約・実行

契約手続きでは、銀行の窓口で「金銭消費貸借契約書」などの書類を確認し、署名・捺印を行います。

その際に、融資額・金利・返済スケジュールといった重要な条件に間違いがないかを、必ずチェックしましょう。連帯保証人が必要な場合には、保証人の同席または実印・印鑑証明書が必要です。契約手続きが完了すると、指定口座に融資金が振り込まれます。申し込みから融資の実行まで、一連の手続きはこれで完了です。

銀行融資の審査期間はどれくらい?金融機関別の目安

銀行融資の審査期間は、金融機関によって異なります。ここでは、金融機関を3つのタイプに分けて、各審査期間について解説します。主な内容は、以下の通りです。

メガバンク・地方銀行

メガバンクや地方銀行は、金融システムの根幹を担うといった社会的責任から、貸し倒れリスクの管理には、ほかの金融機関以上に慎重です。

そのため、企業の規模・事業内容・過去の取引実績などについて、さまざまな角度から審査する傾向にあります。手続きも複雑になりやすく、時間がかかるケースも珍しくありません。特に「初めて取引する企業」や「融資額が大きい場合」には、さらに時間がかかることも多いでしょう。審査期間は、2週間から1ヶ月程度が一般的です。

信用金庫・信用組合

信用金庫や信用組合は、メガバンクと比較すると、審査が速く進むことも多いでしょう。地域密着型の金融機関であるため、取引先の事業内容を理解しており、意思決定の流れもシンプルな傾向にあるからです。審査にかかる期間は、1週間から3週間ほどが一般的です。しかし、案件内容が複雑な場合には、さらに時間がかかることもあります。

日本政策金融公庫

政府が出資する日本政策金融公庫は、創業を目指す人や中小企業の事業支援を目的としています。そのため、民間の金融機関とは、審査の視点が異なります。実績だけでは判断が難しい企業に対しても、事業計画の独自性や成長性を評価し、積極的に融資を行うことがあるでしょう。

一方で、国の公的な制度融資を取り扱うため、年度末や補助金の公募時期など、特定のタイミングに申し込みが集中しやすいことも事実です。審査が混み合うと、融資までに時間がかかるケースも見受けられます。審査期間の目安は、3週間から1ヶ月半ほどです。

銀行融資の審査で重要視されるポイント

銀行融資の審査を通過するには、銀行が重視するポイントを知ることが大切だといえます。ここでは、重視される「5つのポイント」について解説します。

企業の「健康診断書」(決算書・財務状況)

銀行が融資の判断をする上で、頼りにするのが決算書です。なぜなら、企業の経営状態を客観的な数字で示した公的な資料だからです。企業の「健康診断書」であり、銀行はこれを見て『健全な経営をしているか?』を判断します。
特に厳しくチェックされるポイントは、以下の3つです。

  • 収益性:利益が出ているか
  • 安全性:借入金が多すぎないか、自己資本が十分か
  • キャッシュフロー:事業活動による現金の増減

「赤字だとダメだ」と思われがちですが、必ずしもそうではありません。たとえば、将来のための設備投資が原因であれば、今後どうやって黒字にしていくかを示すことで、評価されるケースもあります。

企業の「未来図」( 事業計画書の具体性と実現可能性)

過去の実績を示す決算書が「健康診断書」だとすれば、事業計画書は企業の「未来図」です。銀行が知りたいのは、融資を受けた後に事業がどのように成長していくのか、また得られた利益を使ってどのように返済するかといった、具体的な流れです。そのため、事業計画書には、競合他社との差別化・具体的な販売戦略・売上や利益の予測といった要素を記載する必要があります。希望的な見通しではなく、市場調査データなどの客観的根拠に基づいた、実現可能性の高い内容を意識しましょう。

お金の「使い道」( 資金使途の妥当性)

融資審査では、「何にいくら必要か」といった、資金使途の妥当性が問われます。たとえば、新たな機械を購入する「設備資金」なのか、人件費に充てる「運転資金」なのかなどを区別し、金額の根拠となる見積などを示さなければなりません。加えて、「投資が企業の成長に不可欠な理由」や「希望金額の妥当性」について説明が求められます。資金使途が曖昧だったり、過大な金額と判断されたりすると、経営計画そのものの信憑性が疑われることもあるでしょう。

経営者の「信頼性」(経歴と個人信用情報)

銀行は、事業そのものだけでなく、経営者自身についても評価します。面談では、事業計画書だけでは伝わらない熱意・ビジョン・経験・誠実さなどを総合的に判断されるでしょう。

加えて、客観的な評価項目として、経営者個人の信用情報もチェックします。もし過去のクレジットカードやローンの返済に延滞記録があれば、個人の金銭管理能力が疑問視され、会社の返済能力についても懸念を持たれる可能性があります。

銀行は『事業と経営者は一体である』という視点で評価するため、事業内容だけでなく、経営者自身の信頼性を保つ姿勢が重要です。

「万が一」への備え (担保・保証人の有無)

銀行にとって融資における最大のリスクは、貸付金が回収不能となる「貸し倒れ」です。そのため、返済が滞った場合に損失を補填できるかは、重要な評価項目となります。具体的には、不動産などの「物的担保」や、信用保証協会による「保証」の有無です。

近年、経営者の個人保証を求めない融資も増えています。しかし、このようなケースは、企業の信用力が高いと判断された場合に限られます。創業間もない企業や高額な融資を希望する場合、担保や保証は必須と考えて良いでしょう。

銀行融資の審査通過率を上げるためにできること

銀行融資の通過率は、経営者の準備次第で引き上げることが可能です。審査は書類だけではなく、日頃の関係性や面談でのやり取りも含めて判断されます。銀行融資の審査通過率を上げるためにできる主な内容は、以下の通りです。

提出書類の質を高める

銀行が融資審査で最初に注目するのは、提出書類です。なかでも「事業計画書」や「資金繰り表」は、将来性や返済能力を示すことから、特に重要だといえます。そのため、これらの書類の「質」を高めることが大切です。具体的には、「誰が読んでも事業内容やビジョンが伝わる」「売上予測や経費計画に客観的な根拠が示されている」などが挙げられます。曖昧な表現や希望的観測に基づいた計画になっていると、事業への理解や計画性が不足していると思われるでしょう。

銀行との良好な関係を築く

融資は、信頼関係に基づき実施されるものです。そのため、資金が必要な時だけ銀行に相談するのではなく、普段から担当者と良好な関係を築くことが大切です。たとえば、「定期的に試算表を持参して経営状況を報告する」「事業の進捗や今後の見通しについて情報交換をする」など、地道なコミュニケーションが求められます。

また、会社の良い時も悪い時も正直に伝えることで、経営者の誠実さを示せるでしょう。地道な信頼の積み重ねが、いざという時の融資相談をスムーズにします。

面談対策

面談は、経営者の人柄や事業への熱意を直接伝えられる場です。しかし、面談で曖昧な答えや自信のない説明をすると、信頼を損う可能性があります。そのため、事前準備が欠かせません。

事業計画や返済計画の内容はもとより、「事業を選んだ理由」「自社の強み・弱み」「資金の具体的な使い道」など、想定される質問への答えを用意しておきましょう。自信を持って、論理的かつ熱意を持って話す姿は、担当者に安心感を与え、「この経営者なら大丈夫だ」と信頼してもらいやすくなります。

銀行融資の審査に申し込む際は専門家の活用も検討してみてください

銀行融資を成功させるには、審査のポイントを的確に押さえる必要があります。しかし、準備には専門的な知識が不可欠であり、多忙な経営者様にとって負担となることも事実です。融資審査の成功確率を上げるなら、資金調達の専門家である税理士をご活用ください。

私たち二見達彦税理士事務所は、数多くの融資サポート実績を誇ります。経営者様の事業への思いを、銀行が納得する事業計画書へと具体化し、自信を持って面談に臨めるようサポートします。まずはお気軽にご連絡ください。

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