資金繰りが厳しいことの原因分析から改善策、資金調達まで徹底解説

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会社を経営していくと、ときに資金繰りが厳しくなることもあるでしょう。しかし、そのまま放置するのは危険です。なぜなら、状況が変わらないどころか、さらに悪化する可能性もあるからです。

本記事では、資金繰りが厳しくなる主な原因をはじめ、改善策・資金調達の方法・NG行動まで解説します。厳しい状況を乗り越え、安定した経営基盤を築くためにも、ぜひ本記事をお役立ていただければと思います。

目次

資金繰りを悪化させる「7つの根本原因」の特定

資金繰りの問題に向き合うには、根本的な原因を特定することが大切です。また、複数の要因が絡み合うケースも見受けられます。原因を一つずつクリアにすることで、解決に向けた道筋が見えてきます。まずは、以下の7つの原因に心当たりがないか、チェックしてみましょう。

原因1:売上・利益構造の問題(赤字、売上変動、低利益率)

慢性的な赤字は、利益が支出を下回る状態であり、当然ながら資金繰りを悪化させる要因となります。また、季節変動や市場の変化などで売上が大きく変動する場合も、安定したキャッシュフローの確保が難しくなります。さらに、売上があったとしても、利益率が低いビジネスモデルでは、手元に残る現金が少なくなりがちです。

赤字や売上変動・低利益率といった「事業の収益力そのもの」に起因する問題は、長期的にキャッシュフローを圧迫しやすく、資金ショートのリスクを高めるでしょう。

原因2:回収と支払いのズレ(売掛金の長期化・買掛金の短期化)

資金繰りを見直すには、売掛金と買掛金のバランスを考えることが大切です。両者のバランスが崩れ、売掛金を長期において回収できない状態にもかかわらず、買掛金の支払いを早期に求められる事態が続けば、黒字倒産になることもあるでしょう。

たとえば、企業向けのシステム開発を行う場合、プロジェクト完了後に数千万円の請求となる一方で、外部委託費は毎月支払う必要があります。この場合、利益が出ている「黒字」状態であっても、手元の現金が不足することもあるでしょう。すると、買掛金が支払えなくなり、黒字でも倒産してしまいます。

原因3:在庫・資産の問題(過剰在庫、遊休資産)

在庫や資産は、適切に管理されていなければ、現金の流れを滞らせる原因となり得ます。とくに、販売見込みの低い商品や不良在庫を大量に抱える「過剰在庫」は、仕入れに要した現金が回収できないだけでなく、保管コストも発生させてしまいます。結果として、キャッシュフローを圧迫しがちです。

また、事業にほとんど使われていない「遊休資産」も同様です。遊休資産の購入時に流出した現金が回収されず、固定資産税などの維持コストがかかり続けるため、「負債」となって資金繰りで苦しむことがあります。

原因4:財務戦略の欠如(無計画な借入、過度な設備投資)

企業の成長には、戦略的な投資が不可欠です。しかし、将来のキャッシュフローや返済計画を十分に検討しない安易な借入は、経営リスクとなり得ます。

とくに、企業の実態に見合わない過剰な設備投資は、多額の資金を固定化することから、将来の財務を圧迫する可能性があります。財務分析をせずに資金調達を行うと、返済負担が重くのしかかり、経営を困難にするかもしれません。

原因5:管理体制の不備(資金繰り表の未作成、どんぶり勘定)

資金繰りに関して、内容を把握していない場合、資金繰りが悪化する原因になり得ます。将来の入出金を予測しつつ、手元の現金の動きを可視化する「資金繰り表」を作成していない場合、いつ、どれくらいの資金が不足するのかを事前に察知できないでしょう。

結果として、感覚に頼る「どんぶり勘定」で経営を進めてしまいます。すると、資金ショートが目前に迫るまで問題に気づかず、対策が手遅れになるケースも少なくありません。

原因6:外部環境の急変(取引先の倒産、市場の変化)

自社の努力だけではコントロールが難しい「外部環境の変化」も、資金繰りに影響を与えることがあります。たとえば取引先が倒産した場合、売掛金が回収できなくなる「焦げ付き」が発生するかもしれません。

また、予期せぬ競合の台頭によって売上が急減するかもしれません。また市場の変化によって、原材料価格が高騰するケースも見受けられます。外部環境の急変は、前もって予測することが難しいため、企業のキャッシュフローを突然揺るがす可能性があります。

原因7:誤った節税対策

税金対策は、企業の収益を守るためにも必要です。しかし、その方法を誤ると、かえって資金繰りを悪化させる危険性があります。たとえば、目先の税金を減らすために「必要性の低い経費を無理に計上する」「不要な設備を導入する」などの行為は、会社の現金を外部に流出させるだけかもしれません。

過度な節税対策は、一時的に税金を抑えられても、企業の手元現金を減らし続ける可能性があります。結果として、いざという時の財務体力を弱める結果につながりかねません。

今すぐ着手すべき資金繰り改善策

資金繰りを改善するには、現状を把握し、迅速に対策を行う必要があります。しかし、どこから手をつければ良いのかと、迷うかもしれません。ここでは、今すぐに着手すべき4つの改善策について解説します。

売掛金の早期回収・管理強化

会社の資金繰りを改善するうえで、売掛金の早期回収は重要です。売掛金は、まだ手元にない未来の収入であり、回収が滞ると資金繰りは悪化する傾向にあります。

売掛金を早期回収するにあたり、取引先に交渉を行い、支払いサイトを短縮してもらうことも一案です。また近年注目されている「ファクタリング」といったサービスの活用も挙げられます。

ファクタリングは、将来受け取るべき売掛金を専門のファクタリング業者に譲渡し、すぐに現金化する仕組みです。手数料分は差し引かれるものの、緊急の資金不足に有用だと言えます。

買掛金・支払サイトの見直し

売掛金の早期回収と並行して、買掛金の支払いサイトの見直しを行うことも、資金繰りの改善に役立つ可能性があります。仕入れ先に交渉を行えば、支払期限を延長してもらえるかもしれません。

支払いサイトを長く設定できれば、それだけ手元に現金を長く留めておけるため、日々の資金繰りに余裕が生まれやすくなります。とくに飲食業や製造業など、仕入れが先行するビジネスにおいて、効果的な対策となり得るでしょう。

在庫の適正化・不要資産の売却

たとえば「過剰な在庫」は、仕入れに費やした現金が回収できていないだけでなく、保管費用も発生させるため、資金繰りを圧迫する要因となります。このような過剰在庫をセールなどで処分し、在庫を現金に変えれば、新たな仕入れや運転資金に充てられる可能性があります。

また、事業にほとんど使われていない遊休資産も、売却すれば「まとまった現金」を確保できるかもしれません。

経費削減・コスト見直し

資金繰りの改善で、すぐに効果が出やすい方法として、経費削減が挙げられます。経費削減を進める場合には、会社の支出を細かく見直し、無駄なコストがないかを洗い出すことから始めましょう。たとえば、事務所の家賃のような固定費は、一度削減できれば継続的な効果が期待できます。

交際費や消耗品費といった変動費も、意識的に見直すことで削減効果が見込めます。さまざまな経費を見直すことで、キャッシュの流出を抑制し、手元の現金を増やすことにつながるでしょう。

資金繰り改善に役立つ外部からの資金調達

緊急性の高い事案や事業拡大などが必要なケースでは、外部からの資金調達を視野に入れることもあるでしょう。ここでは、経営状況に応じて活用を検討したい、外部からの資金調達の手段について解説します。

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付

日本政策金融公庫のセーフティネット貸付は、一時的に経営が悪化した企業が利用できる公的な融資制度です。民間の金融機関では難しいとされる状況でも、比較的低金利で、長期の返済期間が設定される場合があるでしょう。
また、特定の要件を満たせば、担保や保証人が不要な枠も用意されています。

そのため、経営者の負担を軽減しつつ、事業継続に向けた資金確保の手段として多くの企業に活用されています。

取引銀行への相談(追加融資とリスケジュール)

取引のある銀行は、自社の経営状況をある程度知っているため、資金繰り改善に向けた相談先として検討する価値があります。追加融資の依頼では、使途や返済計画を伝え、銀行が納得できる説明をすることが大切です。
融資を受けた結果、借入金の返済が困難になった場合に、放置は禁物です。

早めに銀行に相談し、返済条件の変更(リスケジュール)を交渉しましょう。「一時的な返済額の軽減」「返済期間の延長」などで、資金繰りの負担を軽減できる可能性があります。

補助金・助成金の活用(返済不要の資金)

補助金や助成金を活用すると、返済不要で資金を調達できます。しかし、多くの場合「取り組み後の支払い」になるため、緊急の資金繰り改善には直結しにくいでしょう。

補助金・助成金の例

  • 小規模事業者持続化補助金:販路の開拓や生産性向上にかかる経費を補助
  • キャリアアップ助成金:非正規雇用者の正規雇用や処遇改善を実施した事業主に支給
  • ものづくり補助金: 設備投資をサポートし、状況によって最大4,000万円を補助

補助金や助成金の情報は、経済産業省・厚生労働省・自治体などの公式サイトで確認できます。補助金や助成金のポータルサイトの活用も有用です。

その他の選択肢(制度融資、クラウドファンディング等)

ほかにも、資金調達の選択肢は存在します。たとえば「制度融資」は、地方自治体が中小企業を支援するために、金融機関と連携して設けた融資制度です。通常の融資よりも有利な条件で借入ができることが多く、保証料や利子の一部を自治体が負担するケースも見受けられます。

また、「クラウドファンディング」も、新たな資金調調達の手段として注目を集めています。クラウドファンディングは、インターネット上の専用サイトを通じて、不特定多数の人々から、プロジェクトや事業への賛同・支援として少額ずつ資金を募る方法です。

資金繰りが苦しくても絶対にやってはいけないこと

資金繰りが厳しくなると、冷静な判断が難しくなる人も多く、目先の解決策に飛びつきがちです。しかし、その中には、企業の存続を危うくするような「避けるべき行為」も存在します。資金繰りが苦しくても絶対にやってはいけないことは、以下の通りです。

高金利のローン(街金、商工ローン)への手出し

資金調達に困った際に、「審査が甘い」「すぐに借りられる」といった謳い文句の高金利ローン(街金・商工ローンなど)に手を出すと、資金繰りをさらに悪化させる可能性があります。これらの金利は高く、一度借りると、元本に加え高額な利息が雪だるま式に膨らみ、あっという間に返済不能に陥るケースもあるでしょう。

また返済が滞れば、企業の信用情報は傷つき、正規の金融機関からの借入が難しくなるだけでなく、個人の資産にまで影響が及ぶ可能性があります。

税金・社会保険料の滞納

資金繰りが苦しいと、つい後回しにしがちなのが税金や社会保険料の支払いです。税金や社会保険料の支払いを滞納すると、滞納した期間に応じて高い延滞税が課せられるため、本来払うべき金額以上の負担が生じるでしょう。また滞納が続けば、預貯金や売掛金、果ては不動産や車両などの財産を差し押さえられる可能性があります。財産の差し押さえにまで至ると、事業の継続は事実上困難になります。

安易な約束手形の発行

手元に現金がないにもかかわらず、安易に約束手形を振り出す行為も危険です。約束手形は、期日に必ず支払うという「企業の約束」です。期日までに支払いができないと「不渡り」を起こし、企業の信用も損なわれます。とくに、6ヶ月以内に2回目の不渡りを出すと、金融機関との取引停止処分となる可能性が高く、事実上の倒産を意味します。一度銀行との取引が停止すれば、口座が使えなくなり、新たな融資も、既存の取引継続も困難になるからです。

資金繰りに関するお悩みは専門家へのご相談をお勧めします

資金繰りの問題は複雑で、原因が複雑に絡み合うケースも多いでしょう。本記事では、原因の特定から改善策・資金調達、避けるべき行為まで解説しました。しかし、自社にとって最適な解決策を見つけたうえで、実行するのは容易ではありません。状況が悪化する前に、資金繰りに強い税理士や専門家に相談することが大切です。

二見達彦税理士事務所では、貴社の状況を丁寧にヒアリングし、具体的な改善策のご提案から実行まで、親身になってサポートいたします。どうぞご安心してお任せください。

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