税務調査で書類を持ち帰られる期間はどのくらい?返却ルールと取るべき対応について解説

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税務調査を受けると、調査官から、書類やデータなどを持ち帰りたいと言われることがあります。その際に、書類の返却時期や必要な対応など、気になることは多いでしょう。

そこで本記事では、税務調査で書類を持ち帰られる期間の目安や返却のルール、経営者が取るべき対応について解説します。

目次

税務調査の持ち帰りとは?

税務調査では、調査官から帳簿や契約書などを税務署へ持ち帰りたいと言われることがあります。このように、提出した書類を税務署で預かる手続きを、法律上は「留置き」といいます。

一方、その場で書類を見せることは「提示」、調査官へ手渡すことは「提出」と呼ばれ、それぞれ扱いが異なります。ここでは、留置きの仕組みと、提示・提出との違いを解説します。

書類の持ち帰りは、法律上の留置きに該当する

税務調査における書類の持ち帰りは、法律上「留置き」と呼ばれます。国税通則法第74条の7では、税務職員について「国税に関する調査について必要があるときは、当該調査において提出された物件を留め置くことができる」と定めています。

つまり、納税者へ返却するまで、書類やデータを税務署側が預かり続けます。ただし、留置きは調査官が一方的に実施できるものではなく、書類を提出した人の理解と協力を得たうえで行われます。

参考:e-Gov法令検索「国税通則法(第74条の7)」

提示・提出と、留置きの違い

提示・提出と留置きの違いは、帳簿書類を税務署へ持ち帰り、一定期間において預かるかどうかです。

提示とは、帳簿や契約書などをその場で調査官に見せ、内容を確認できる状態にすることです。提出は、調査官が内容を確認できるよう、帳簿書類などを手渡すことを指します。

一方で留置きは、提出した書類を調査官が税務署へ持ち帰って預かります。提示・提出・留置きの順に、納税者が書類を管理できない範囲や期間が大きくなります。

また、留置きは預り証が交付されるので、預り証が交付されない場合にはその場で確認しましょう。

返却される書類と提出用コピーの違い

事業者が保管しているコピーであっても、返却を前提に預ける場合には、留置きに該当します。この場合、原則として預り証が交付されます。

一方で税務調査のために新たにコピーを作成し、調査官へ提出する際には、原則的に書類は返却されません。そのため、留置きには当たらず、預り証も交付されないのが一般的です。

電子帳簿・会計データの持ち帰りを求められるケース

税務調査では、会計ソフトのバックアップデータや、電子保存された請求書などの提出を求められることがあります。USBメモリなどへデータを保存し、調査官へ渡すケースもあるでしょう。

一方、提出用に新たに複製したデータは、紙のコピーと同様、留置きに該当しない場合があります。データを渡す際は、調査対象と関係のない個人情報や社外秘情報が混在していないかを確認し、対象期間やデータの範囲を明確にしましょう。

税務調査で書類を持ち帰られる期間の目安

ここでは、書類の留置き期間について、一般的な目安と返却までに数か月かかるケースを解説します。あわせて、留置きが長期化する理由や、法律上の返却期限についても見ていきましょう。

一般的な留置き期間は1〜2週間程度

比較的規模が小さく、確認する書類が限られている税務調査などでは、留置き期間は1〜2週間程度が目安です。

書類を預ける際に、調査官から「1週間程度で確認して連絡します」などと説明されるケースもあります。税務署内で書類を確認した後、疑問点がなければ返却され、確認事項があれば追加資料や説明を求められる可能性があるでしょう。

数か月に及ぶケースとその理由

企業規模が大きい場合や取引件数が多い場合、書類の留置きが数か月に及ぶこともあります。また、複数年度の帳簿を確認する必要がある場合も、時間がかかる傾向にあります。

以下のようなケースでも、長期化しやすいでしょう。

  • 申告内容と取引先の資料を照合する反面調査が行われる
  • 税務署内の上席者と判断する
  • 海外取引や特殊な取引が含まれている

しかし、留置きが長引いているからといって、重大な申告漏れを疑われているとは限りません。

法律上、期限の上限は定められていない

国税通則法には、留置きについて具体的な上限は定められていません。

定められているのは、留め置く必要がなくなったときは、遅滞なく返還しなければならないということです。納税者から返還を求められた場合も、調査に特段の支障がない限り、速やかに返還するものとされています。

つまり、返却時期は調査上の必要性によって判断されるため、曖昧になりやすいでしょう。そのため、書類を預ける段階で返却予定日を話し合い、必要に応じて進捗を確認することが大切です。

書類の持ち帰りを含む、税務調査全体の流れ

ここでは、書類の持ち帰りを含む、税務調査における全体の流れについて解説します。事前通知から実地調査までの流れ、調査にかかる日数や結果が出るまでの期間、税務署内で行われることを解説します。

事前通知から実地調査までの流れ

税務調査では、税務署から電話などで事前通知が行われます。調査日時や対象となる税目・調査目的などが伝えられ、納税者側と日程を調整します。

顧問税理士が税務代理権限証書を提出しており、事前通知に関する同意が記載されている場合は、税理士へ通知されることもあるでしょう。日程が決まったら、指定された資料を準備します。

実地調査にかかる日数の目安

個人事業主や小規模事業者の実地調査は、1〜2日程度で行われるケースが一般的です。一定規模の法人や取引件数の多い場合には、3〜4日にわたる場合もあります。

ただし、これらの日数は目安です。申告内容や確認事項によっては、複数回の訪問が行われることもあるでしょう。実地調査中にすべての資料を確認できない場合や、会社内で長時間検査すると負担が大きい場合に、書類の留置きを求められることがあります。

持ち帰り後に税務署内で行われること

税務署へ持ち帰られた帳簿書類を使い、申告書の内容との整合性を確認します。

たとえば、総勘定元帳と請求書・領収書を照合し、売上の計上漏れを確認します。取引の内容や金額に疑問があれば、納税者へ説明や追加資料を求められることもあるでしょう。さらに確認が必要な場合には、取引先や金融機関に行う「反面調査」へ進む可能性もあります。

調査結果が出るまでの期間

調査結果が出るまでの目安期間は、1か月程度です。ただし、調査内容が複雑な場合や反面調査を伴う場合などは、結果が出るまでに数か月かかることもあります。

また税務調査の結果は、主に以下の3つです。

  • 是認
  • 修正申告
  • 更正

申告内容に問題がなければ、是認と呼ばれる結果になり、「更正決定等をすべきと認められない旨」が書面で通知されます。

申告内容に誤りがあり、納税者が指摘に納得した場合は、自ら修正申告を行います。一方、修正申告に応じない場合などは、税務署長が申告内容や税額を訂正する「更正」を行うことがあります。

書類の持ち帰りは拒否できるのか

税務調査で書類の持ち帰りを求められた場合、応じなければならないのかと不安に思う方もいるでしょう。ここでは、留置きを拒否できる根拠や、拒否した場合に不利益があるのかを解説します。

承諾が必要なので、拒否は可能

国税庁の「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」によると、帳簿書類の留置きは、納税者の承諾を得て行うとされています。そのため、納税者の承諾なく、留め置かれることはありません。

ただし、留置きを拒否できることと、税務調査に必要な書類の提示や提出を拒否できることは異なります。留置きに応じない場合も、事業所内で書類を確認してもらったり必要な部分のコピーを提出したりするなど、調査官と代わりの方法を話し合うことが大切です。

参考:国税庁「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」

国税庁の事務運営指針が定める留置きの要件

国税庁の事務運営指針では、調査先に十分なスペースやコピー機がない場合などに、書類の留置きが認められています。また、検査する書類が多量であり、税務署内で確認した方が納税者の負担軽減につながる場合も対象です。

留置きは、やむを得ず書類を預かる必要がある場合や、納税者の負担軽減という観点から合理的に行うものです。調査官の都合だけで、持ち帰るものではありません。

拒否した場合に不利益はあるのか

留置きは、納税者の承諾を得て行われる手続きです。そのため、持ち帰りに承諾しなかったことだけで、罰則が科されるわけではありません。

ただし、留置きを拒否したうえで、必要な書類をその場で見せなかったりコピーの提出にも応じなかったりすると、問題になる可能性があります。持ち帰りを断る場合は、社内での閲覧や必要部分をコピーで提出するなど、代替方法を提案することが重要です。

持ち帰りに応じる場合に経営者が必ずやるべきこと

書類の持ち帰りに応じる場合は、トラブルや業務への支障を防ぐため、事前に必要な対応を行うことが大切です。ここでは、書類を預ける際に確認しておきたいポイントについて解説します。

預り証を必ず受け取り、記載内容を確認する

帳簿書類を留置きする際、調査官は、必要事項を記載した預り証を交付します。

預り証を受け取ったら、預けた物件の名称や種類などが、実物と一致しているかを確認しましょう。関係書類一式など、内容が分かりにくい記載になっている場合は、可能な限り具体的に記載してもらうと安心です。

返却時には、預り証と引き換えに書類を受け取ります。書類やデータを預けた事実や範囲を証明する書面なので、預り証を受け取ってから原本を渡すよう注意しましょう。

預ける前にコピー・スキャンを取っておく

持ち帰りを求められた書類は、税務署へ渡す前に、コピーまたはスキャンを取りましょう。返却までの間に、契約内容や過去の取引を確認する必要が生じる可能性があるからです。

PDFなどで電子データ化しておけば、複数の担当者で共有しやすくなり、紛失や再発行のリスクも抑えられます。預ける前に全ページがそろっているかを確認し、預り証の内容と対応するよう整理して保存しましょう。

返却予定日を明確にしてもらう

法律上は、留置きしたものについて、返却期限の上限は定められていません。そのため、書類を渡す際には、できる限り具体的な返却日を確認すると安心です。口頭で確認した場合も、日時や調査官の回答をメモに残しておくことをおすすめします。

返却日を過ぎても連絡がないときは、税務署へ問い合わせて進捗を確認しましょう。業務上必要になった場合は、返還を申し出ることも可能です。

業務に支障が出る書類は対象から外してもらう

業務上すぐに必要な書類が含まれている場合は、その事情を調査官に説明しましょう。預けることで負担が生じる場合には、対象から外してもらうよう、交渉してみることが大切です。その際には、社内で閲覧してもらう、必要なページだけコピーを渡すなどの方法を提案するとよいでしょう。

顧問税理士に立ち会いを依頼する

顧問税理士がいる場合は、税務調査への立ち会いを依頼しましょう。税務代理権限証書を提出した税理士は、調査官とのやり取りや、資料の提出範囲に関する確認を行えます。

専門家が同席していれば、留置きが必要な理由や返却予定日について、法令や実務を踏まえて調査官と話し合うことが可能です。調査と関係のない資料や、業務への影響が大きい書類を持ち帰られる事態も、防ぎやすくなるでしょう。

書類を預けた後、返却予定日を過ぎても戻ってこない場合や、追加資料への対応に迷った場合は、早めに税理士へ相談しましょう。

持ち帰りに応じる際は、返却予定日と預り証を確認しよう

税務調査で書類を持ち帰られる場合には、対象範囲や返却予定日を確認し、預り証を受け取ります。返却が予定より遅れていたり、業務で書類が必要になったりした場合には、税務署へ返却時期を確認することも大切です。

二見達彦税理士は、税務調査への立ち会いから、調査官との折衝や調査終了後の対応までサポートしています。書類の持ち帰りを求められて対応に迷っている方や、これから税務調査を受ける予定で不安な方は、お気軽にご連絡ください。

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