給与計算代行とは?依頼できる業務や委託先の選び方を解説

給与計算代行とは、従業員の給与計算や年末調整など、人事労務に関わる事務作業のアウトソーシングサービスのことです。
給与計算に関わる作業は、専門知識が必要でありながら比較的定型的な業務であるといえます。しかし、定型的でありながらも、各従業員ごとに多様なパターンがあるため、ITの力を駆使しても、人のチェックが必須の煩雑な作業ともいえるでしょう。
この記事では、給与計算代行にはどのようなサービスがあるか、どこに依頼すべきかなどを解説します。
給与計算代行で依頼できる内容と対応範囲
ここでは、給与計算のアウトソーシングとは、どのようなサービスを請け負ってくれるのかをみていきましょう。
月次給与・賞与計算
給与計算代行での代表的な業務は、給与・賞与の計算です。勤怠データに基づいて、基本給や残業代、諸手当などから所得税や社会保険料の正確な算出を行います。年に数回の賞与も同様で、勤怠情報の集計や明細作成など、給与、賞与に付帯する作業を請け負ってくれるサービスもあります。
年末調整・源泉徴収票の発行
年末調整も、アウトソーシングできる主要なサービスといえます。年末から年始にかけて行う年末調整は業務が短期間に集中しがちで、自社で対応するには多くの時間と労力が必要です。
年末調整は、控除書類・データの整理や税額計算、源泉徴収票の発行など、作業は多岐にわたります。また、法定調書や給与支払報告書などは、1月末期限で税務署や役所などへの提出が必要で、これらの煩雑な作業を代行で依頼することは、自社の大きなリソースの確保につながるでしょう。
住民税の年度更新と社会保険関連の手続き
住民税、社会保険関係業務の代行依頼も可能です。
前述した給与支払報告書は、住民税を計算するために、1月末までに自治体に提出します。それに加えて、6月には住民税額の更新作業(※1)が必要になりますが、これらも代行を依頼できる作業の一つです。
また、一年を通して対応が必要になる社会保険料の加入・脱退手続きや、給与の月額変更届、社会保険料を決定するための算定基礎届の提出など、社会保険に関する多くの業務も対応してもらえます。
代行へ依頼するメリットは、自社の作業負担を軽減させるだけではありません。行政への報告漏れを防ぐことにより、会社に対する社員からの信頼や円滑な事業運営、さらに、企業への信頼度に結びつくでしょう。
※1 新たに決定した住民税額を給与計算ソフトで設定する作業
給与振込データの作成・Web明細発行
代行依頼は、給与計算したデータを元に、振込手続きからWeb明細の配信まで行ってくれます。加えて住民税の納付代行が可能な業者もあり、インターネットバンキングを活用したこのサービスは、自社の手間を大幅に削減してくれるでしょう。
給与計算代行を導入するメリット
多くの利点がある給与計算代行ですが、ここでは主要なメリットについて説明します。
コア業務への集中と人員体制の最適化
専門知識を要する給与計算ですが、業務としては毎月ルーティン化している業務がほとんどです。また、間違いがあってはならない分野である半面、会社の利益に直接つながる業務ではないため、外部委託しやすい業務といえます。
アウトソーシングで生み出されたリソースは、事業発展のために費やすことができます。優秀な人材採用や育成、人事評価制度の構築など、売上向上に直結する戦略的業務に力を注げるでしょう。
法改正への迅速な対応と計算ミスの回避
給与計算代行依頼は、頻繁に行われる法改正や社会保険料の料率変更にも迅速に対応してもらえるのが、大きな魅力の一つです。専門家と自社によるダブルチェックで、未払残業や所得税、社会保険料の徴収ミスなどを回避し、常に最新のルールにのっとった正確な業務が可能になるでしょう。
特に、税制改正を深く理解するのは容易ではありません。アウトソーシングにより、基本的な部分を専門家に任せられることは、担当者の心の負担の軽減にもつながります。
業務の属人化リスクの解消
アウトソーシングは「担当者にしかやり方がわからない、内容がわからない」といった、情報のブラックボックス化や業務の属人化を防げます。担当者の急な退職や転職時にも、滞りなく業務を進められる体制が構築できるという大きな利点があります。
給与計算代行を導入するデメリット
時代の流れとともに、柔軟な対応が必要になる給与計算業務には、知っておくべきデメリットがあります。ここでは、代表的な懸念点を紹介しましょう。
ノウハウの未蓄積と外部依存度の高まり
給与計算を外部に委託すると、自社に計算ロジックが残らないため、従業員からの質問やイレギュラーな問題に社内で迅速に対応するのが難しくなります。そのため、代行委託先のサービス継続が難しくなった際には、都度、新たに委託先を探す必要性が出てくるでしょう。
上記を防ぐには、委託先と定例会を開催したり、社内の人間が最新の法改正についてある程度の知識を蓄えておくなどして、「委託しているサービスの情報を共有し、ノウハウを常に把握しておく」のが重要です。
情報漏洩リスクと委託先のセキュリティ基準の適合性
給与計算代行の最大の懸念点は、情報漏洩のリスクがあることです。契約を検討している委託先については、セキュリティ対策が万全であるかどうかが、最も重要な選択基準といえます。
セキュリティの確認方法として、Pマーク(プライバシーマーク(※2))を取得しているかどうかというのがポイントになります。また、事前に情報の取り扱い規定を、しっかりチェックするのも忘れないようにしましょう。
※2
Pマークとは、個人情報の適切な管理や、保護体制を確立している事業者に与えられる認定マーク
一般社団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が付与する「事業者の信頼性」を証明するもので、Webサイトや名刺などにマークを表示できる
参考:一般財団法人日本情報経済社会推進協会|プライバシーマーク制度
給与計算代行の主な依頼先
アウトソーシングの依頼は、各社の特徴を押さえて検討するのがおすすめです。ここでは、各分野別に、強みとなる点や重視すべきポイントについて解説します。
給与計算代行専門会社(BPO)
専門の給与計算代行会社(いわゆるBPO(※3))は、給与計算業務に特化しており、迅速で正確な対応が強みです。複雑なシステム連携に強いため、従業員が多い場合や、事務処理の効率化やコストパフォーマンスを追求する会社に向いています。
※3 BPO(Business Process Outsourcing)業務一連のプロセスを専門業者に外部委託すること
【給与計算代行専門会社へ依頼するのが向いている条件とは】
- 自社で対応していたが人員の出入りが多くなった場合
- 残業、シフトなどが複雑な場合
- コストを抑えつつ業務を効率化したい場合
社会保険労務士(社労士)
社会保険労務士に給与計算代行を依頼する場合は、なんといっても、社会保険労務士の独占業務である労務管理や社会保険手続きを一括で任せられるのが利点です。労務の深い知識があるため、特殊な問題の解決も得意で、コンプライアンス強化を重視する会社に向いています。
【社会保険労務士へ依頼するのが向いている条件とは】
- 社会保険や労働保険まで「人」に関する業務を一括で依頼したい場合
- 残業代や割増賃金計算、有給管理が複雑な場合
- 労務トラブルの回避を重視する場合
税理士事務所
給与計算を、税金の専門家である税理士へ依頼する場合は、年末調整作業や法定調書の作成、申告までを一括して依頼できるのがメリットです。日々の会計業務の依頼や税務相談も対応可能なため、一年を通して、経営の数値を連動させて事業を進めたい会社に向いています。
【税理士事務所へ依頼するのが向いている条件とは】
- 「正しい税額」を重視する場合
- すでに税理士と顧問契約を結んでいる場合
- 年末調整や税務処理を一括で依頼した場合
- 従業員が多過ぎず労務が複雑ではない場合
アウトソーシングの適性については、「経理業務の効率化を成功させる手法とステップを解説」の記事でも紹介しているので、ご一読ください。
税理士に給与計算代行を依頼する具体的なメリット
前項では、給与計算代行の依頼先を紹介しましたが、なかでも税理士にアウトソーシング依頼する場合には、次のような優位性があります。
年末調整までワンストップで完了する
前述したように、税金関係の正確性を重視したい場合は、税理士への依頼がおすすめです。給与計算から年末調整での年税額算出、法定調書関係の作成から電子申告まで一気通貫で任せられます。
特に、法定調書の作成や提出などは税理士の独占業務であり、他業者は対応ができません。さらに、個人の確定申告業務も請け負ってもらえる利便性と対応力も強みです。
法人税申告や税務相談との連携による経営管理の高度化
適切な人件費や算出した税金などの情報を、即座に月次決算や法人税申告に反映できるのも、税理士代行依頼ならではのメリットです。正確な財務状態を知ることで、自社に合った節税対策はもちろんのこと、資金繰りや、将来の事業予測を見据えた今期の事業判断まで、税理士ならではのアドバイスが得られるでしょう。
給与計算代行を検討中の場合は二見達彦税理士事務所に相談を
給与計算のアウトソーシングは、各分野それぞれの強みを理解して選ぶのが重要です。しかし、税理士には「給与計算から節税対策・決算申告までをトータルサポートできる」というほかにはない強みがあります。
二見達彦税理士事務所では、各社それぞれの事業状況に合わせ、法人としての人件費のアドバイスから各従業員の年末調整・確定申告まで、総合的なアドバイスが可能です。節税や業務効率化など、よりよい環境づくりのお手伝いをいたします。給与計算代行を検討中の方は、候補の一つとして、ぜひ弊所の無料相談をご利用ください。
