相続税の申告に税理士は必要か?依頼すべきケース・不要なケースを解説

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人生において、「遺産を相続する」機会が幾度もあり慣れている方は少ないでしょう。「税理士に依頼すべき?」「相続税の申告が必要か分からない」「手続きの進め方が分からない」という方がほとんどではないでしょうか。

この記事では、相続税の申告に税理士が必要か、そもそも申告自体が必要かなど、相続についての基本をわかりやすく解説しています。

税理士に依頼するメリットや、税額を減額できる制度も交えて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

目次

相続税の申告が必要になるケースとは?

まずは、相続税の申告が必要かどうかの基本的な説明をします。自身があてはまるかどうかを確認してみましょう。

遺産総額が「基礎控除額」以下なら申告も税理士も不要

財産を相続した全員が申告の対象になるわけではありません。原則として、相続財産(資産-負債)が基礎控除額以下の場合、相続税は発生しないため申告手続きは不要です。

基礎控除額=3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数

【例外】特例利用で税額が0円になる場合は申告が必要

相続では、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」によって、相続財産が基礎控除額を超えていても税額が発生しないケースがあります。この場合、税額が発生しなくても、制度を適用するための申告が必要になるので注意しましょう。

参考:国税庁|配偶者の税額の軽減
   国税庁|小規模宅地等の特例

税理士が不要な可能性が高い5つのケース

相続財産の内容や条件によっては、自分で対応できる可能性が高いケースがあります。ここでは、具体的にどのような場合に税理士への依頼が不要になるかを紹介するので、参考にしてください。

ケース1:相続財産の総額が基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)を下回る

相続税には基礎控除という非課税枠があります。相続財産の総額が基礎控除額以下の場合、相続税の申告義務がないため、税理士への依頼は不要です。

例:法定相続人の数が2名の場合の基礎控除額
3,000万円 + 600万円 × 2名 = 4,200万円

ただし、相続財産が基礎控除額を超えるかどうかの判断が明確ではない場合や、相続税の対象になる財産の詳細を知りたい場合は、税理士に相談するのがよいでしょう。

ケース2:相続財産が現金・預貯金・上場株式など評価が簡単なものだけ

相続財産の内容が、現金や預貯金、死亡保険金など、だれが計算しても評価額が変わらない財産だけの場合も、個人で申告できる可能性が高いといえます。

また、全財産をもれなく把握できているのが前提で、自身が計算や申告書作成に前向きに取り組めるかも重要になります。

ケース3:相続人が1人、または遺産分割で全く揉めていない

税理士が不要なケースとして、相続人が一人、もしくは相続人全員でしっかり遺産分割協議ができているかも重要なポイントです。

被相続人に前妻との子ども、認知した子どもがいる場合や、一部の相続人が生前贈与を受けている場合などは、相続人間での調整や複雑な手続きが発生するため、税理士へ依頼するのがよいでしょう。

ケース4:平日に手続きの時間を十分に確保できる

相続税申告を自分で行う場合、時間的に余裕があることが重要になります。必要書類の準備や財産評価、遺産分割協議書の作成など、多くの作業をこなさなければならないからです。

また、申告書を作成して提出するためには、税務署や金融機関での手続きが必要になります。業務期間中の平日日中に対応できるかも重要なポイントです。

ケース5:利用する特例が「配偶者控除」のみなど、適用条件がシンプル

相続で適用する特例が、比較的シンプルな要件で必要書類が少ない「配偶者の税額軽減」のみの場合も、自分で申告しやすいでしょう。

配偶者の税額軽減とは、下記のいずれか多い金額までであれば、配偶者にかかる相続税が0円となる配偶者に優しい制度です。

  • 正味の遺産額が1億6,000万円以下
  • 配偶者の法定相続分相当額

【適用要件】

  • 戸籍上の配偶者であること
  • 申告書提出時に遺産分割協議が終わっていること ※1
  • 申告期限内に申告書を提出すること ※1

※1 申告期限:被相続人が死亡したことを知った日(通常は死亡した日)の翌日から10ヶ月以内 例:死亡日が1月6日の場合は11月6日

税理士への依頼を強く推奨する7つのケース

高額の遺産や、評価額の算出が困難な場合は専門家のサポートが不可欠です。ここでは、税理士への依頼を推奨する、複雑な条件や特例制度などの解説をします。

ケース1:相続財産に「土地・不動産」が含まれる

相続財産に土地や不動産が含まれる場合は、税理士へ依頼するのがよいでしょう。

土地や不動産の評価には、高度な専門知識が必要です。たとえば、土地の評価は路線価方式や倍率方式がありますが、正しい評価額を導き出すには、専門家のサポートが必須となるでしょう。

また、評価額のほか、各種特例の適用可否も税額に大きく影響するため、自身で判断がつきにくい場合は税理士に相談することをおすすめします。

ケース2:相続財産に「非上場株式(自社株)」が含まれる

相続財産に非上場株式(自社株)が含まれる場合も、専門知識が浅いと正しい評価をするのは困難といえるでしょう。会社の事業内容や規模に応じて、評価額を算出するには複雑な計算が必要になるためです。

具体的な評価方法として、評価対象会社と業種が類似している業種の株価をもとに評価する「類似業種比準方式」や、純資産価額を発行済株式数で割って株価を求める「純資産価額方式」などがあります。

また、評価額の算定次第では高額な税額になる可能性もあるため、支払いが困難な場合は、遺産相続の放棄なども視野に入れて専門家に相談するようにしましょう。

ケース3:遺産総額が1億円を超え、税務調査のリスクが高い

一般的に、相続財産が1億円以上になると税務調査の対象になりやすいといわれています。

相続税は、法人税、所得税に比べて申告件数は少ないですが、税務調査率は最も高い税です。納税額が高額になること、相続財産が高額になるほど申告内容に漏れがあるケースが多いのが理由と考えられています。

参考:国税庁|令和5事務年度における相続税の調査等の状況

ケース4:「小規模宅地等の特例」を適用して大幅な節税をしたい

小規模宅地等の特例は、残された家族が生活の基盤を維持するための制度で、最大で80%の納税額の減額が可能になります。減額割合の詳細は下記です。

宅地等の利用区分要件限度面積減額割合
居住用特定居住用宅地等に該当する宅地等330㎡80%
貸付事業用
(法人に貸付け、貸付事業以外の事業用として利用)
①特定同族会社事業用宅地等に該当する宅地等
②貸付事業用宅地等に該当する宅地等
①400㎡
②200㎡
①80%
②50%
貸付事業用
(法人に貸付け、貸付事業用として利用)
貸付事業用宅地等に該当する宅地等200㎡50%
貸付事業用
(被相続人等の貸付事業用として利用)
貸付事業用宅地等に該当する宅地等200㎡50%
貸付事業以外の事業用特定事業用宅地等に該当する宅地等400㎡80%

上記のように、節税効果が非常に大きい反面、適用要件が極めて複雑なため、専門家でなければ適用ミスにつながってしまう可能性が高いでしょう。

ケース5:相続人が複数いる、または関係が複雑で揉める可能性がある

法定相続人が複数いる場合や、相続人同士の関係が複雑な場合は、円満に遺産分割協議が行われない可能性が高くなりがちです。

事前に税理士が中立的な立場から遺産分割案を提示することで、円満解決につながりやすく、感情的な対立を避けることができます。

ケース6:申告期限(死亡を知った日の翌日から10ヶ月)が迫っている

申告期限が迫っている場合も税理士にサポートを依頼するのがおすすめです。戸籍の収集や財産評価は多くの時間を要します。特例制度の適用も申告期限内の提出であることが原則なので、迅速かつ正確に手続きを進められる専門家への依頼が賢明といえるでしょう。

ケース7:過去の贈与や名義預金など、税務署に指摘されやすい点がある

生前贈与の加算漏れや、名義預金(家族名義でありながら実質的には被相続人のもの)は、税務調査で最も指摘されやすい事項です。

指摘の回避方法として、生前贈与をする際に、前もって「贈与契約書を作成する」「口座内のお金を名義人が自由に使えるようにする」などの対策が必要になります。

諸条件にもよりますが、加算漏れ防止や、名義預金とみなされずに生前贈与をスムーズに進めるには、相続のプロへ依頼するのがおすすめです。

税理士に依頼する3大メリット|報酬を払う価値はどこにある?

税理士への依頼は、必ず享受できるメリットがあります。ここでは、特に重要なメリットを下記で紹介します。

【節税】最も有利な特例適用で、支払う税金を最小化できる

税理士に相続税申告を依頼する最大のメリットは、納付額を最小限に抑えられることでしょう。

税理士は、豊富な専門知識を駆使することで、最適な遺産分割案の提示や適切な相続財産の評価が可能です。特例の適用可否や評価の方法次第では、何百万円もの差額が発生するケースもあり、相続税額を大幅に引き下げられる可能性が高まります。

【正確性・時間短縮】複雑な手続きを丸投げでき、精神的負担が激減する

税理士に依頼することで、物理的、精神的な負担がかなり減るでしょう。

大切な人を亡くした悲しみの中、膨大な書類の準備や複雑な書類作成、申告書の提出などを行うのはかなりの負担になります。専門家への依頼は、時間と手間を節約し、故人を偲ぶかけがえのない時間を過ごす時間を生み出せるでしょう。

【リスク回避】税務調査の可能性を下げ、万が一の調査でも代理で対応してもらえる

税理士が作成した申告書には税理士署名欄があるため、一定の知識のある者が作成した信頼性の高いものと認識されます。税務署が内容に疑問をもったとしても、まずは申告を担当した税理士が対応するため、ただちに税務調査にはつながりにくいでしょう。

また、万が一調査が入っても、専門家として代理で交渉、説明してくれるので安心です。

失敗しない「相続に強い税理士」の選び方4つのポイント

相続手続きは、相続に強い税理士を選ぶのが重要です。ここでは税理士を選ぶ際のポイントを紹介するので、ぜひ参考にしてください。

相続税申告の実績・経験が豊富か

相続に強い税理士を見つけるには、まず相続税の申告実績のある事務所を探しましょう。税理士にも専門分野があります。相続税は特に専門性が高い分野になるため、年間の申告件数のように具体的な実績を確認するのが重要です。

また、申告件数だけではなく、長年専門的に活躍してきたベテランの税理士が在籍するかどうかもポイントになります。過去の経験値からのノウハウが事務所内で共有されており、事務所全体のレベルが高い可能性が高いためです。

不動産評価のノウハウを持っているか

相続税申告では、評価額が高額になりがちな土地、不動産の評価が納税額に大きな影響を及ぼします。申告件数のほか、最も評価が難しい土地や不動産の現地調査の実績や、評価額を適正に引き下げるノウハウがある税理士が在籍するかを確認するのもおすすめです。

料金体系が明確で、事前に見積もりを提示してくれるか

税理士の選び方において、税理士報酬が「相続財産のX%」というような、明確な報酬基準が示されているかどうかも重要なポイントです。また、追加料金の発生条件などを、事前に詳しく提示してくれるかも大切な判断材料になります。

納税額を最小限に抑えられても、報酬が高額では本末転倒です。事前にしっかりとした説明があり、契約内容が明確な税理士を選ぶようにしましょう。

親身に相談に乗ってくれるか(相性の確認)

相続人の不安や疑問に寄り添ってくれるか、専門用語を分かりやすく説明してくれるかも、税理士を選ぶ際の大切な要素です。

長い人生で、「相続」という場面は頻繁にあるものではありません。特に初めての場合は、分からないことだらけで不安な方も多いでしょう。長期的な付き合いでは、質問しやすい雰囲気であるか、コミュニケーションの取りやすさなども重要になります。

相続税に関するご相談は二見達彦税理士事務所にお任せください

相続税申告は自分で対応することもできますが、相続財産が高額であったり、条件が複雑な場合はリスクを伴うため、専門知識を有する税理士に依頼することをおすすめします。

専門家へ依頼することで、税額を抑えるだけでなく、その後の二次相続も考慮してアドバイスしてもらえるでしょう。

二見達彦税理士事務所は、相続の専門家がご遺族のお心に寄り添い、さまざまな手続きをサポートいたします。相続手続きに必要な司法書士、不動産鑑定士との連携体制も整っており、複雑な手続きをワンストップで解決に導きます。

相続に関して、お困りごとや疑問がある場合は、ぜひ無料相談をご利用ください。

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