相続税の「書面添付制度」とは?税務調査を回避するメリットとリスクを解説

相続税の申告後に、税務調査の連絡が来たらどうしようと、不安を抱える人も多いのではないでしょうか?実際に、相続税を申告した約10件に1件は税務調査の対象になるといわれており、決して他人事ではありません。そこで、税務調査のリスクを下げ、申告の信頼性を高めるために知っておきたいのが「書面添付制度」です。本記事では、書面添付制度の仕組みから、メリットや利用時の注意点まで解説します。
相続税申告の「書面添付制度」とは?
書面添付制度とは、税理士が申告書の信頼性を保証する制度です。平たくいえば、税理士が作成した「申告書のお墨付き」だといえます。書面添付制度では、税理士が確認した資料の詳細や、財産を評価した背景などを記録したうえで、その書類を申告書に添付します。すると、税務署に対して「専門家が責任をもって精査した正確な申告書です」と証明できるのです。
書面添付制度の重要性が高まっている理由
近年、書面添付制度の重要性が高まっています。その理由は、国税庁が税務調査の効率化を推進していることにあります。税務署は、限られた人員で、疑いがある案件を重点的に調査したいと考えています。そのため、税理士が責任をもって内容を保証した「お墨付き」のある申告書は、調査対象から外れやすくなるのです。納税者にとっては税務調査リスクを下げ、国にとっては調査の効率を上げる効果が期待できます。そのため、双方にメリットのある仕組みとして活用が広がっているといえます。
書面添付制度を利用するメリット
ここでは、書面添付制度を利用するメリットについて解説します。主なメリットは、以下の3点です。
税務調査の対象になる確率を下げやすい
相続税の税務調査率は、約10%といわれています。そのため、税務調査は誰にとっても無関係な話ではありません。書面添付制度を利用すると、税務調査の対象になる確率そのものについて、引き下げることが可能です。税理士という専門家が内容を保証しており、税務署からの信頼度向上が期待できます。そのため、税務署が調査先を選定する初期段階で「問題なし」と判断されるケースが多く、そもそも調査のテーブルに載りにくくなるのです。
意見聴取だけで調査完了になる可能性がある
意見聴取とは、税務署が「提出された申告内容」に疑問をもった際に、実地調査の前に、まず担当税理士に説明を求める手続きのことです。これは、書面添付制度を利用するメリットの1つだといえます。
税理士がその場で税務署の疑問点を説明し、税務署の担当者を納得させられれば、そこで手続きは完了です。結果として、納税者本人に連絡がいくことなく、実地調査そのものが省略されます。相続人が調査対応に時間を取られるといった負担について、軽減できるでしょう。
もし申告漏れがあっても「加算税」が免除される
書面添付制度を利用した場合、申告内容に誤りや漏れがあった場合にもメリットがあります。税理士への意見聴取の結果、修正が必要だと判明された場合、その段階で修正申告を行えば「自主的な修正」とみなされるからです。本来であれば、申告書を修正する場合には、過少申告加算税(税率10〜15%)がペナルティとして課されます。しかし、書面添付制度を利用していれば、過少申告加算税が免除されるのです。
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書面添付制度にデメリットはある?利用時の注意点とリスク
書面添付制度には多くのメリットがある一方で、デメリットも存在します。利用する際には、書面添付制度を利用する際の注意点とリスクを踏まえることが大切です。主なデメリットは、以下の通りです。
多くの場合、別途で費用が発生する
書面添付制度を利用すると、通常の申告報酬とは別に、追加で費用がかかるケースが多いでしょう。料金の相場は、5万円~10万円程度です。(事例は少ないものの、税理士事務所によっては基本報酬に含まれることがあります)
オプション料金として設定される理由は、添付書面を作成するために、財産調査や家族へのヒアリングなど、時間をかけた対応が求められるからです。申告の品質を保証するための対価と理解し、契約前に料金体系を確認しましょう。
申告書の作成に時間がかかる
書面添付制度を利用する場合、申告書の作成には。多くの時間が必要な傾向にあります。税理士は申告内容に責任をもつため、過去の預金移動の精査や詳細なヒアリングなど、より深く時間をかけて調査を行うからです。そのため、相続税の申告期限のギリギリのタイミングで依頼すると、対応を断られる可能性もあります。書面添付制度の利用を検討する場合には、できるだけ早く税理士に相談し、余裕をもって進めることが大切です。
内容の薄い書面は逆効果になるリスクも
書面添付制度は、内容次第では、逆効果になる可能性も秘めています。もし添付された書面が「預金を確認しました」といった形式的なものであったり、曖昧な表現で事実を隠していると疑われたりすると、税務署に不信感を与えてしまいます。その結果、厳しくチェックされやすくなり、税務調査を誘発しかねません。書面添付制度を最大限に活かすには、説得力のある書面を作成できる、経験豊富な税理士を選ぶことが大切です。
税務署はここを見ている!税務調査で注意すべき2つのポイント
税務署が相続税の調査で特に注目するのは、お金の流れが不透明な部分です。中でも論点となりやすい内容が、タンス預金と名義預金についてです。ここでは、それぞれについて、注意すべきポイントを解説します。
ポイント1:タンス預金・手元預金の出どころ
被相続人が生前に引き出した現金は、税務署が注視する内容の1つです。書面添付では「過去10年間に出金された総額から、生活費・医療費・交際費などを差し引いた結果、申告した手元現金〇〇円と整合性が取れています」といったロジックで説明します。具体的に伝えることで、資金の使い込みや隠し財産の存在を疑われる余地を減らし、税務署の納得を得やすくなります。
ポイント2:家族名義の預金を本人だと証明する
妻や子の名義になっている預金は、「実質的には被相続人の財産ではないか?」と疑われやすいです。そのため、書面では、預金の原資がどこにあるのかを明確に記載します。たとえば「この預金は妻自身のパート収入で形成されました」と根拠を示したり、「毎年、贈与契約に基づいて資金を管理しています」と説明したりします。被相続人の財産ではないことを証明できれば、調査対象から外れやすくなるでしょう。
関連記事:贈与契約書が必要な理由とは|書き方やトラブル回避の方法を解説
書面添付制度に強い税理士の選び方
書面添付制度のメリットを享受するには、税理士選びが重要です。なぜなら、税理士の経験や知識、税務署との交渉力によって効果が変わるためです。ここでは、書面添付制度に強い税理士の選び方について解説します。
申告実績が豊富な税理士を選ぶ
書面添付制度を使いこなすには、何をどこまで書くべきかという高度な判断力が求められます。この判断力は、多くの案件を手掛ける中で養われるといっても、過言ではありません。そのため、税理士の相続税における「年間申告件数」を確認することも大切です。実績が豊富な税理士事務所は、多様なケースに対応してきた経験から、税務署が疑問をもちやすいポイントも熟知しています。ノウハウがあるからこそ、税務署を納得させられるような、質の高い書面を作成できます。
過去の「意見聴取の実績」を確認する
税理士を選ぶ際には、書面を提出した後の対応力もチェックするとよいでしょう。税務署から問い合わせが入る「意見聴取」の場面でも、税理士の手腕が問われるからです。そのため、意見聴取の場で、税務調査の省略を勝ち取った実績があるかを確認するとよいでししょう。税務調査を省略できた実績は、書面の内容が的確であり、税理士の交渉力の高さも証明する証拠になります。
書面添付制度のご相談は二見達彦税理士事務所へ
書面添付制度を活用するには、豊富な実績と税務調査への対応力をもつ税理士選びが不可欠です。
二見達彦税理士事務所では、数多くの書面添付制度を活用した申告を手掛けてまいりました。税務調査のポイントを熟知した税理士が、お客様の状況を丁寧にヒアリングし、説得力のある書面を作成します。結果として、税務調査のリスク軽減につながります。
意見聴取を経て調査省略に至った実績もありますので、どうぞ安心してお任せください。初回の相談は無料です。相続税や税務調査について少しでも不安があれば、お気軽にお問い合わせください。
