歯科医院に強い税理士とは?依頼するメリット・選び方のポイントを解説

歯科医院を経営していると、税務申告や経理など、お金に関するさまざまな悩みが出てきます。また医院の成長に伴い、設備投資や医療法人化を検討することもあるでしょう。こうした場面では、日々の経理業務に加え、資金計画や税務面について考える必要も出てきます。そのようなときに頼りになるのが、歯科医院に強い税理士です。
そこで本記事では、歯科医院が税理士に依頼できる業務から、依頼するメリットや選び方まで解説します。税務や経理の負担を減らしたい方や、税理士への依頼や変更を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
歯科医院が税理士に依頼できる業務の範囲
まずは、税理士に依頼できる業務範囲について見ていきましょう。任せられる業務内容を知っておくことで、自院に必要なサポートを検討しやすくなります。税理士に依頼できる主な内容は、以下の通りです。
税務申告や税務相談への対応
税理士には、「税務代理」「税務書類の作成」「税務相談」という、税理士法で定められた業務があります。
【歯科医院における例】
- 税務代理:税務署からの問い合わせ対応/税務調査の立会い
- 税務書類の作成:個人開業の歯科医院における所得税の確定申告書/医療法人における法人税や消費税などの申告書作成
- 税務相談:設備を購入した際の税務処理/経費計上の可否に関する相談
このように、申告書の作成から、税務署への対応や税務の疑問まで幅広く相談できます。
記帳や給与計算などの経理業務
歯科医院では、保険診療や自由診療の売上をはじめ、日々さまざまな取引が発生します。これらを会計ソフトへ入力する記帳業務は、税理士に依頼することも可能です。
また税理士事務所によっては、スタッフの給与計算や年末調整まで対応しているケースがあります。料金や対応範囲は事務所によって異なるため、契約前に顧問料に含まれる業務を確認しておくとよいでしょう。
経営分析や資金調達のサポート
税理士には、経営分析や事業計画書の作成など、資金調達に関するサポートを依頼できます。経営分析では、売上や支出、借入金の返済状況などを確認し、手元に現金が残りにくい原因を整理してもらえます。また、診療ユニットやCTなど高額な設備を導入する際には、金融機関への融資申請に向けた資料作成について相談することも可能です。
医院の経営状況を継続的に見てもらうことで、設備投資や借入についても判断しやすくなるでしょう。
なお、手元資金を安定させるには、キャッシュフローにも目を向けることが大切です。詳しくは、以下の記事をご覧ください。
「キャッシュフロー経営とは?黒字倒産を防ぐ仕組みと実践手法を解説」
歯科医院に強い税理士に依頼するメリット
税務申告や記帳などであれば、歯科医院の顧問経験がない税理士でも対応できるケースはあります。しかし、歯科医院ならではの税務や経営について相談したい場合には、歯科医院の支援経験がある税理士を選ぶことが大切です。ここでは、歯科医院に強い税理士に依頼するメリットについて見ていきましょう。
税務事務を任せて、診療に集中できる
歯科医院では、日々の診療や患者対応だけでなく、スタッフ管理や経営判断など、さまざまな業務への対応が必要です。そのうえ、帳簿入力や申告書類の準備まで行うと、税務や経理にかかる負担も大きくなりがちです。
税理士へ経理や税務を任せれば、数字を整理したり、申告方法を調べたりする負担を減らせます。専門家に任せることで、申告ミスのリスク軽減にもつながります。その分、診療や医院経営など、本来注力したい業務に時間を使いやすくなるでしょう。
歯科医院に合った節税方法を相談できる
歯科医院では、診療収入の内容や経費のかかり方によって、検討できる税制や節税方法が変わります。たとえば、一定の条件を満たす医師や歯科医師には、社会保険診療報酬にかかる必要経費を概算で計算できる特例があります。実際の経費で計算する場合とどちらが有利かは、医院ごとに確認が必要です。
そのほか、医療法人化や、医療機関の周辺業務を担うMS法人の活用、医療機器への投資に利用できる税制措置について検討するケースもあります。歯科医院に詳しい税理士であれば、状況を踏まえながら、利用できる制度や効果について相談することが可能です。
経営状況を客観的に把握できる
自院の数字だけを見ていても、経営上の課題に気づきにくいことがあります。一方で、歯科医院の顧問実績が豊富な税理士に依頼すれば、同規模の医院の傾向も踏まえつつ、自院の経営状況を見てもらえるでしょう。
その結果、以下のような課題が見つかることもあります。
- 人件費の割合が高い
- 自由診療の割合が低い
- 設備投資の負担が大きい
自院の経営状況を客観的に見ることで、今後どこを見直すべきか考えやすくなります。
補助金や融資の情報を得やすい
歯科医院では、設備の入れ替えやIT化を進める際に、費用面で悩むこともあるでしょう。そのような際に活用を検討したいのが、補助金・助成金や金融機関からの融資です。
ただし、補助金や助成金は種類が多く、対象経費や申請要件も異なります。また、融資を受ける際には、金融機関ごとの条件や必要書類などの確認が必要です。こうした情報をどの程度把握しているかは、税理士によって差が出ます。歯科医院向けの補助金や資金調達に詳しい税理士であれば、活用できる制度や融資について情報を得やすいでしょう。
税務調査に備えられる
歯科医院の税務調査では、自由診療の売上や予約表との整合性などを細かく見られることがあります。そのため、現金で受け取った自由診療収入についても、計上漏れがないよう普段から帳簿と照合させることが大切です。
また、使用済みの金属を売却した場合は、売却益についても処理しておく必要があります。歯科医院の税務調査に慣れている税理士であれば、見られやすいポイントを踏まえて、事前に必要な準備をアドバイスしてもらえるでしょう。
税務調査では、取引先などに確認が入る「反面調査」が行われることもあります。反面調査について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
「反面調査とは?税務調査で取引先に調査が入る理由と回避するための対策を解説」
歯科医院に強い税理士の選び方
長期的に医院経営を支えてもらうには、歯科医院に強い税理士を選ぶことが大切です。ここでは、歯科医院に強い税理士を見極める際に、確認したいポイントについて紹介します。
歯科医院の顧問実績がある
税理士を選ぶ際は、歯科医院の支援実績を確認することが大切です。歯科医院は、診療報酬・自由診療や医療法人化など、一般的な事業者とは異なる論点があるためです。支援経験が豊富であれば、歯科医院特有の悩みにも対応してもらいやすいでしょう。
まずは、税理士事務所のホームページで医療・歯科分野の顧問実績が紹介されているかを確認します。具体的な内容が掲載されていない場合は、初回相談の際に直接質問するとよいでしょう。あわせて、個人開業の歯科医院だけでなく、医療法人の支援経験があるかも確認したいポイントです。
歯科特有の節税方法を熟知している
歯科医院に強い税理士を見極めるには、歯科特有の税制について質問するとよいでしょう。たとえば、社会保険診療報酬に関する概算経費の特例について、適用要件や実額経費との比較まで説明できるかを確認します。
また、MS法人についても、単に「設立すれば節税できる」と説明するのではなく、設立後の運用や税務上の注意点まで含めて説明できるかがポイントです。メリットだけでなく、適用条件やリスクについても丁寧に説明してくれる税理士を選ぶとよいでしょう。
医療法人化・MS法人設立の支援実績がある
医院の規模が大きくなると、医療法人化を検討するケースがあります。医療法人の設立には都道府県知事等の認可が必要で、一般的な会社設立とは手続きが異なります。将来的に法人化を考えている場合は、支援経験のある税理士を選ぶと安心です。
また医療法人化を考えるときは、社会保険への加入や資金の使い方、将来の事業承継などもあわせて考える必要があります。MS法人を検討する場合も、設立するメリットだけでなく、実際の事業内容や運用方法まで含めて考える必要があるでしょう。こうした点をまとめて相談できるかも、税理士選びのポイントです。
開業支援や事業承継まで対応できる
医院の経営段階によって、税理士に相談したい内容は異なるでしょう。そのため、開業から引退までを見据えて相談できる体制があるかを確認することが大切です。
たとえば、開業時には事業計画や資金調達を、経営が軌道に乗った後には設備投資や医療法人化などについて相談することがあります。さらに将来は、事業承継や医院の売却を検討するケースもあるでしょう。必要に応じて他の専門家とも連携しながら、さまざまな課題をワンストップで相談できるかを確認しておきましょう。
税務調査への対応力がある
税務調査への対応経験も、税理士選びで確認したいポイントです。税務調査では、調査官からの質問に答えたり、帳簿をもとに取引内容を説明したりする必要があります。こうした対応を医院だけで進めるのは負担が大きく、税務の知識が十分でない場合には、どこまで説明すべきか判断に迷うこともあるでしょう。
歯科医院の税務調査経験がある税理士に依頼すれば、自由診療収入や材料費など、歯科医院で確認されやすい項目を踏まえて事前準備を進めてもらえます。また、税務調査が入った際に立会いを依頼できるかも確認しておくと安心です。
歯科医院が税理士に相談すべきタイミング
歯科医院が税理士に相談する場合、どのようなタイミングが適しているのでしょうか。ここでは、開業前・経営安定期・拡大期に分けて、税理士へ相談したいタイミングについて見ていきましょう。
開業の準備期
歯科医院の開業を考え始めた段階は、税理士に相談しやすいタイミングの一つです。開業前であれば、資金計画や事業計画を立てる段階から相談できるため、準備を進めながら必要な手続きや資金面について確認できます。
たとえば、物件取得や診療設備の購入に必要な資金を整理したり、事業計画書や財務資料の作成について相談したりできます。また、個人事業として開業する場合には、開業届や青色申告に関する届出など、開業時に必要な税務手続きについても相談できるでしょう。
開業後の経営安定期
開業後に、経営が安定してきた時期も、税理士への相談を検討するタイミングです。ある程度の実績が蓄積されることで、これまでの収支を振り返り、今後の経営について考えやすくなります。
たとえば、利益や手元資金の状況を確認し、必要に応じて資金繰りや節税について相談できます。また、スタッフの増員や設備投資などを考えている場合には、今後必要になる資金について早めに相談しておくとよいでしょう。
医院が成長した拡大期
患者数や売上が増え、医院が拡大するタイミングも、税理士への依頼を検討するのに適した時期です。採用や設備投資などで支出が増え、これまで以上に資金の流れを把握する必要が出てくるためです。
また、個人経営を続けるか、医療法人化を検討するケースもあるでしょう。その際には、税負担をはじめ、社会保険への加入や将来の事業承継なども踏まえることが大切です。分院の開設やMS法人の活用を検討する場合にも、今後の事業展開を見据えながら、税理士に経営体制を相談することも可能です。
顧問税理士を変更する際の手順と注意点
すでに、顧問税理士と契約している歯科医院もあるでしょう。その場合、現在のサポート内容や医院の状況によっては、税理士の変更を検討するとよいケースもあります。ここでは、変更に適したタイミングや注意点について解説します。
変更に適したタイミング
顧問税理士を変更するにあたり、引き継ぎしやすいのは、確定申告や決算・申告が完了した後です。申告までの処理内容が確定しており、必要な資料もそろっているため、次の税理士が引き継ぎやすくなります。
一方、決算直前や申告作業の途中で変更すると、処理の進み具合や、資料の準備状況を新たな税理士が確認することになるでしょう。その分、引き継ぎに手間がかかりがちです。
ただし、必ずしも決算後まで待つ必要はありません。現在の契約状況や医院の予定を踏まえ、新しい税理士にも相談しながら、引き継ぎしやすい時期を決めるとよいでしょう。
変更時の注意点と対策
税理士を変更する際には、過去の申告書や会計データなど、必要な資料を引き継ぐ必要があります。なかには、資料の返却に時間がかかったり、会計データの移行がスムーズに進まなかったりするケースもあります。
また契約内容によっては、解約の申し出期限や違約金が定められていることもあります。そのため、変更を決める前に、契約書で解約条件や資料の返却方法、データの取り扱いについて確認しておくことが大切です。
新しい税理士を先に決め、必要な資料や引き継ぎ方法を確認したうえで、現在の税理士へ解約を申し出ると、移行を進めやすくなるでしょう。
歯科医院の経営パートナーとして最適な税理士を選ぼう
歯科医院に強い税理士には、日々の経理から資金繰りや医療法人化の相談まで、幅広い相談ができます。歯科医院特有の税務や経営を理解している税理士であれば、医院の状況に応じたアドバイスも受けられるでしょう。
二見達彦税理士事務所では、税務顧問をはじめ、経理代行や資金調達、経営に関するご相談に対応しています。税務・会計の負担を軽減したい方や、今後の医院経営についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。
