法人税の還付金の仕訳はいつ・どう書く?タイミング別の勘定科目とケース別仕訳例を解説

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法人税の還付金が発生した際、仕訳するタイミングや使用する勘定科目に迷う人もいるでしょう。還付金は、発生した理由や入金のタイミングによって処理方法が異なります。適切に処理しないと、決算書や法人税申告の内容に影響する可能性があるため、注意が必要です。

そこで本記事では、法人税の還付が発生する主なケースを整理したうえで、仕訳方法や使用する勘定科目について解説します。具体的な仕訳例や申告時の注意点も紹介しているため、実務での処理に迷った際にお役立てください。

目次

法人税の還付金とは?

法人税の還付金とは、納付した法人税が本来納めるべき税額を上回っていた場合などに、納めすぎた税金が返還されるものです。また、還付は特別な優遇制度ではなく、一定の条件に該当した法人が、過払いとなった税金を取り戻せる仕組みです。

法人税をはじめ、法人が負担する税金の種類や税率について詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

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法人税の実効税率とは?計算方法・表面税率との違いを解説

還付金と還付加算金の違い

還付金は、本来納める必要がなかった税金が返還されるものです。一方で還付加算金は、税金を納めてから還付されるまでの期間に応じて、国から加算される金額です。つまり、還付金は納めすぎた税金そのものが戻るもので、還付加算金は還付までの期間に応じて付される利息に近いものといえます。

また両者は、会計や税務上の扱いが異なります。たとえば、還付金は益金に算入されません。一方で、還付加算金は益金算入の対象です。

還付金はいつ振り込まれる?

法人税の還付金が振り込まれる時期は、申告内容や税務署での確認状況などによって異なります。なかには、申告から1〜2か月程度かかるケースも見受けられます。そのため、資金繰りを考える際には、余裕を持ってスケジュールを見込んでおくことが大切です。

還付手続きが進むと、「国税還付金振込通知書」が届き、還付金額や振込先などを確認できます。その後、指定した金融機関の口座へ還付金が振り込まれる流れです。

法人税の還付が発生する4つのケース

ここでは、法人税の還付が発生するケースについて解説します。還付が生じる4つのパターンは、以下のとおりです。

中間納付額が確定税額を上回った

法人税では、前年度の税額などを基準に、事業年度の途中で中間納付を行う場合があります。その後、業績が低下するなどして当期の確定税額が中間納付額を下回ると、納めすぎた分が還付されます。

たとえば、中間納付で300万円を納めたものの、決算後の確定税額が180万円だった場合、差額の120万円が還付対象です。

赤字決算で、欠損金の繰戻し還付を請求した

前期は黒字だったものの、当期に赤字となった場合、「欠損金の繰戻しによる還付」を利用できることがあります。欠損金の繰戻し還付とは、当期の赤字を前期の所得と相殺することで、前期に納付した法人税の一部について還付を受けられる制度のことです。

また、制度の利用には一定の要件があり、原則として還付の対象となる事業年度から欠損が生じた事業年度まで、連続して青色申告書を提出している必要があります。

源泉所得税・所得税額控除で控除しきれなかった

法人が預金利息や配当金などを受け取る際には、所得税があらかじめ差し引かれることがあります。この所得税は、法人税を申告する際に、法人税額から差し引くことが可能です。

ただし、源泉徴収された所得税額が法人税額を上回ると、全額を差し引くことはできません。この場合、法人税額から差し引ききれずに残った所得税額が還付される流れです。

申告ミスがあり、更正の請求を行った

計算誤りなどによって、本来より多く税金を納付していた場合は、更正の請求によって訂正を行います。更正の請求が認められれば、納めすぎた税金の還付を受けられます。

また請求できる期間は、原則として法定申告期限から5年以内です。申告後に誤りが見つかった場合は、早めに対応しましょう。

仕訳は「決算時」と「入金時」の2つのタイミングで行う

法人税の還付金は、決算時と実際に入金されたときの2つのタイミングで仕訳するのが基本です。ここからは、法人税の還付で使用する主な勘定科目と、決算時・入金時の仕訳方法について解説します。

仕訳で使う勘定科目一覧

法人税の還付を仕訳する際には、「未収還付法人税等」や「仮払法人税等」など、普段の経費処理ではあまり使わない勘定科目が登場します。主な勘定科目と役割は、以下のとおりです。

勘定科目区分主な用途
未収還付法人税等資産決算時点で確定した未入金の還付を計上
仮払法人税等資産中間納付など、確定前に支払った法人税等を計上
法人税等費用当期に負担する法人税・住民税・事業税などを計上
雑収入収益還付加算金などを受け取った場合に使用

使用する勘定科目は、還付が発生した理由や、これまでの仕訳方法によっても変わります。そのため、前後の会計処理と整合させることが大切です。

ステップ1:決算時に「未収還付法人税等」を計上する

決算によって法人税の還付額が確定した場合、まだ入金されていなくても、会社にはその金額を受け取る権利があります。そのため、決算時に「未収還付法人税等」を資産として計上します。

たとえば、中間納付時に300万円を「仮払法人税等」で計上し、決算後の確定法人税額が180万円となった場合、差額の120万円が還付される流れです。決算時の仕訳は以下のとおりです。

借方金額貸方金額
法人税等180万円仮払法人税等300万円
未収還付法人税等120万円

この仕訳では、中間納付時に計上していた「仮払法人税等」300万円を取り崩し、当期に負担する法人税180万円と、後日還付される120万円に振り分けています。

ステップ2:入金時に「未収還付法人税等」を取り崩す

後日、還付金120万円が銀行口座へ振り込まれたら、決算時に計上していた「未収還付法人税等」を取り崩します。仕訳例は以下のとおりです。

借方金額貸方金額
普通預金120万円未収還付法人税等120万円

決算時にすでに還付金を資産として認識しているため、入金時に改めて収益を計上する必要はありません。決算時の処理と入金時の処理をセットで考えると、二重計上や未収還付法人税等の消し忘れを防ぎやすくなるでしょう。

決算時の計上を忘れるとどうなる?

決算時点で計上すべき還付金を「未収還付法人税等」として処理していないと、本来計上されるべき資産が決算書に反映されません。還付の内容によっては、利益が実際より少なく表示される可能性もあるでしょう。

資産や利益が適切に反映されていない決算書は、決算書の信頼性にも影響する可能性があります。金融機関が融資審査などで決算書を確認する際に、適切な評価を受けられない可能性もあるため注意が必要です。

決算処理に不安がある場合には、以下の記事も参考にしてください。

▼関連記事:
決算申告のみ税理士に依頼すべき?顧問契約との違い、費用相場、判断基準を解説

ケース別・法人税還付の仕訳例

法人税における還付の仕訳方法は、発生した理由によって異なります。特に、中間納付の精算による還付と、欠損金の繰戻し還付では、それまでの会計処理が違うため注意が必要です。ここでは代表的なケースを、具体的な数字とともに紹介します。

中間納付が確定税額より多かった場合の仕訳例

中間納付後に業績が低下した場合など、決算で確定した法人税額よりも中間納付額の方が多くなることがあるでしょう。

たとえば中間納付額が300万円、決算で確定した法人税額が180万円だった場合、差額の120万円が還付されます。まず、中間納付時には、以下のように仕訳します。

借方金額貸方金額
仮払法人税等300万円普通預金300万円

つづいて決算時には、以下のように「確定した法人税額180万円」と「還付予定額120万円」に振り分けます。

借方金額貸方金額
法人税等180万円仮払法人税等300万円
未収還付法人税等120万円

その後、還付金120万円が入金されたら、以下のように「未収還付法人税等」を取り崩します。

借方金額貸方金額
普通預金120万円未収還付法人税等120万円

欠損金の繰戻し還付を受ける場合の仕訳例

前期は黒字だったものの、当期に赤字となった場合は、欠損金の繰戻し還付を受けられることがあります。欠損金の繰戻し還付では、当期に生じた欠損金を前1年以内に開始した事業年度に繰戻し、すでに納付した法人税の還付を請求する流れです。

たとえば、還付請求額が100万円の場合、請求年度には還付予定額を「未収還付法人税等」として計上します。

借方金額貸方金額
未収還付法人税等100万円雑収入100万円

その後、翌年度に100万円が入金されたら、以下のように「未収還付法人税等」を取り崩します。

借方金額貸方金額
普通預金100万円未収還付法人税等100万円

このように、欠損金の繰戻し還付では、請求年度と実際に還付金が入金された年度に分けて仕訳します。

中間納付がなく還付のみ発生する場合の仕訳例

中間納付をしていない場合でも、所得税の還付が発生することがあります。たとえば、預金利息や配当金などから源泉徴収された所得税が、法人税額から控除できる金額を上回った場合です。

このケースでは、中間納付額が確定税額を上回った場合とは異なり、中間納付時に計上した「仮払法人税等」を取り崩す処理はありません。たとえば、源泉徴収された所得税10万円について、決算時に全額の還付を受けることが確定した場合は、次のように仕訳します。

借方金額貸方金額
未収還付法人税等10万円法人税等10万円

その後、還付金10万円が入金されたら、「未収還付法人税等」を取り崩します。

借方金額貸方金額
普通預金10万円未収還付法人税等10万円

中間納付による還付では「仮払法人税等」を精算するのに対し、今回のケースでは源泉徴収された所得税の還付額を「未収還付法人税等」として計上する点が異なります。

還付加算金を受け取った場合の仕訳例

法人税の還付金と還付加算金が一括で振り込まれた場合でも、同じ勘定科目で処理するわけではありません。国税還付金振込通知書などで内訳を確認し、還付金本体と還付加算金を分けて仕訳します。

たとえば、すでに「未収還付法人税等」として計上していた法人税の還付金100万円と、還付加算金1万円が同時に振り込まれた場合は、以下のように処理します。

借方金額貸方金額
普通預金101万円未収還付法人税等100万円
雑収入1万円

この仕訳では、還付金本体については、すでに計上していた「未収還付法人税等」を取り崩します。一方、還付加算金は「雑収入」として計上する流れです。一括で振り込まれていても、通知書に記載された区分や金額を確認し、それぞれ分けて処理することが大切です。

仕訳と申告で注意したい3つのポイント

法人税の還付では、仕訳方法だけでなく、申告時の取り扱いにも注意が必要です。ここでは、仕訳と申告で特に間違えやすい「3つのポイント」を確認していきましょう。

還付金は益金不算入、還付加算金は益金算入

法人税など、本来損金に算入されない税金の還付金は、原則として益金にも算入されません。一方、還付加算金は益金算入の対象となります。

ここで注意したいのが、会計上と税務上で扱いが異なる場合がある点です。会計上は還付金を「雑収入」などの収益として計上していても、税務上は益金に算入しないケースがあります。そのため、会計上の利益と税務上の所得に差が生じる場合は、法人税申告書の別表4で税務調整を行う必要があります。

法人事業税・法人住民税は繰戻し還付の対象外

欠損金の繰戻し還付で戻るのは、基本的に法人税と地方法人税です。法人事業税や法人住民税は、法人税と同様に繰戻し還付を受けられません。

法人住民税については、その場で還付金として戻るのではなく、将来納める法人住民税の計算で差し引く形で調整します。この仕組みを「繰越控除」といいます。

つまり、法人税の繰戻し還付を受けても、法人住民税まで同じタイミングで現金として戻ってくるわけではないのです。税目によって取り扱いが異なる点に注意しましょう。

消費税の還付と混同しない

法人税の還付と同じ時期に、消費税の還付が発生することもあります。ただし、両者は還付が発生する仕組みや会計処理が異なるため、混同しないことが大切です。

法人税では、中間納付額が確定税額を上回った場合や欠損金の繰戻しなどによって還付が生じます。一方の消費税では、仕入れなどで支払った消費税額が、売上時に預かった消費税額を上回る場合などに還付が発生します。そのため、使用する勘定科目や申告上の処理もそれぞれ異なります。

法人税の還付は発生理由に応じて正しく処理しよう

法人税の還付では、発生した理由によって使用する勘定科目や仕訳方法が異なります。還付加算金や申告時の取り扱いにも注意しながら、内容に応じて適切に処理することが大切です。

仕訳や申告処理に迷った場合は、自己判断せず専門家に確認するとよいでしょう。二見達彦税理士事務所では、日々の経理処理から決算・法人税申告まで幅広くサポートしています。法人税の還付や決算処理でお困りの際は、二見達彦税理士までお気軽にご相談ください。

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