相続税対策ガイド|節税のポイントと注意点を詳しく解説

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相続税対策は、知ったその日から一日でも早く取り組むのが重要です。しかし、「具体的な対策方法がわからない」「自身が活用できる制度がわからない」といった方は多いでしょう。

この記事では、相続税節税のための具体的な対策や要点を、注意点を交えて解説します。主要な制度についても解説しているので、自身に合った対策方法を検討するのに役立ててください。

目次

なぜ相続税対策が必要なのか?3つの基本方針

相続税対策で大切なのは、「①財産を減らす」「②財産の評価額を下げる」「③納税資金の確保」です。具体的な理由を下記で紹介するので、参考にしてください。

そもそも財産を減らす(生前贈与)

相続税の最も基本的な対策は、生前に財産を贈与することで財産を減らしておく方法です。贈与税には年間110万円の基礎控除額があり、限度額内で贈与することで、非課税で財産を減らすことができます。また、将来の相続人が通帳や贈与の認識をしていない場合は、贈与と認められない場合があるので注意しましょう。

財産の評価額を下げる(不動産活用など)

現預金としての財産ではなく、不動産として残すのも相続税対策として有効です。

不動産、中でも土地には「公示価格」「実勢価格」「路線価」「固定資産税評価額」の4つの価額があります。土地の相続税評価額は、主に売買の目安価格(公示価格)の80%程度といわれている「路線価」で評価されるため、現預金で土地を購入することで評価額が20%ほど低くなるしくみになっています。

さらに、建物は固定資産評価額に基づいて計算されるので、築年数や諸条件にもよりますが、建築費の60%~70%となるのが一般的です。つまり、現預金を保有しているよりも、30%~40%程度、相続税評価額が圧縮されることになります。

納税資金を確保する(生命保険など)

相続税対策の一つに、納税資金確保のために生命保険を活用する方法があります。

相続税の納付は、原則現金納付です。そのため、相続財産が不動産ばかりの場合は、納税に困る可能性がありますが、生命保険の保険金は受取人固有の財産となるため、納税資金として確実に財産を渡したい人に現金を遺すことが可能です。

【生前対策】今から始められる!効果的な7つの相続税対策

ここでは、実効性のある7つの相続税対策を紹介します。今から取り組める方法もあるので、対策の検討材料としてご活用ください。

暦年贈与:年間110万円の非課税枠を活用する

効果的な相続税対策の代表的な方法として、暦年贈与という制度があります。暦年贈与とは、年間110万円の非課税枠を活用した贈与税がかからない贈与方法で、確実に財産を減らすことが可能です。しかし、贈与された側が認識していなかったり、お金の動きの記録を残していなかったりする場合は、贈与と認められない可能性があるので注意しましょう。(名義預金と判断される)

名義預金や暦年贈与については、「相続税の税務調査はいつ、誰に来る?対象になりやすいケースや調査内容を解説」の記事でも解説しているので参考にしてください。

また、たとえ生前贈与が成立していたとしても、相続税には亡くなる数年前の贈与が相続財産に加算される制度があります。しかも、これまでは3年前とされていましたが、2024年の法改正で7年前まで遡って加算されることになったため、暦年贈与は少しでも早いうちから対策するのがよいでしょう。

相続時精算課税制度:大きな財産を早めに移転する

生前贈与の相続時精算課税制度は、生前に2,500万円までの財産を非課税で贈与でき、贈与者が亡くなったときに、相続財産と合算して相続税を納税する制度です。

2024年の税制改正からは、贈与に年間110万円の基礎控除額が設けられました。この基礎控除は、特別控除の2,500万円とは別枠で利用でき、基礎控除内の贈与は相続時に相続財産へ加算されず、相続税の課税対象にもなりません。

また、この制度の注意点として下記が挙げられます。内容を理解し、よく考えて贈与方法を選択するようにしましょう。

  • 届出の提出が必要
  • 一度この制度を選択すると暦年贈与に戻れない
  • この制度で贈与された宅地などは「小規模宅地等の特例」の適用はできない

生命保険の非課税枠を活用する

生命保険を活用して、相続の財産を減らすのも有効です。生命保険の契約者(保険料負担者)と被保険者が同一の場合、死亡保険金受取人には相続税が課されます。このときに、ある一定の額が非課税になるため、相続税が発生せずに財産を遺すことができるのです。

【課される税金の種類】

契約者(保険料負担者)被保険者保険金受取人課される税金
相続税
子ども贈与税
所得税

【相続税の非課税限度額】
非課税限度額=500万円×法定相続人の数 ※1

上記の生命保険の非課税枠の活用は、「財産を遺したい人に遺せる」「相続税納税資金の確保が可能」「土地・建物のように分割できない財産のみの場合に代償分割資金にできる(※2)」といったメリットがあります。

※1 生命保険非課税枠の法定相続人の数は、相続放棄した人も含まれる
※2 代償分割とは、特定の相続人が土地や建物などを現物相続し、その代わりに土地・建物を相続した相続人が、ほかの相続人に金銭を支払すること

参考:国税庁|相続人の範囲と法定相続分

不動産を活用して財産評価額を下げる

前述したように、現金よりも不動産の方が相続税評価額は低くなります。中でも「小規模宅地等の特例」は、最大80%も評価額が下がる制度で、相続税対策として圧倒的な効果があるでしょう。

適用可能な土地には、土地の用途や面積などいくつかの要件がありますが、現金一括で納付しなければならない相続税の影響で、自宅を手放したり、事業を廃業するのを防ぐための特例制度です。

参考:国税庁|小規模宅地等の特例

3つの贈与税の非課税特例を使いこなす

相続税対策として、贈予税の非課税特例を活用して財産を移行させる方法があります。詳細は以下のとおりです。

用途贈与者要件非課税限度額
①教育資金直系尊属(父母・祖父母など、自分より上の世代に直接つながる血族)・教育資金として使用する
・受贈者(受けとる人)が30歳未満である
・受贈者の前年所得が1,000万円以下である
1,500万円
②結婚・子育て資金直系尊属・結婚や子育て資金として使用する
・受贈者が18歳以上50歳未満である
・受贈者の前年所得が1,000万円以下である
1,000万円(内、結婚資金は最大300万円まで)
③-1 居住用不動産資金直系尊属・贈与の翌年3月15日までに住宅を新築、増改築する
・受贈者が18歳以上である
・受贈者の贈与年度の所得が2,000万円以下である
・住宅が一定の要件を満たしている
要件:国税庁|直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税
500万円もしくは1,000万円
③-2 居住用不動産・資金配偶者・婚姻期間が20年以上である
・居住用不動産、または不動産取得資金である
・贈与の翌年3月15日までにその不動産に居住している
2,000万円

参考:国税庁|直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税
   国税庁|直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税
   国税庁|夫婦の間で居住用の不動産を贈与したときの配偶者控除

養子縁組で法定相続人を増やす

養子縁組をして法定相続人を増やすことにより、主に下記の相続税のメリットがあります。

  • 相続税の基礎控除額が上がる(基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数))
  • 生命保険金の非課税枠が増える
  • 死亡退職金の非課税枠が増える(非課税限度額=500万円×法定相続人の数)

また節税目的で養子縁組をしても、相続税ではその養子が無かったものとされるリスクもあるので注意が必要です。

  • 実子がいる場合 養子1名が法定相続人と認められる
  • 実子がいない場合 養子2名が法定相続人と認められる

法定相続人に関しては、「【相続割合がわかる】誰がいくら貰える?法定相続分について解説」の記事でも詳しく説明しているので、ご一読ください。

資産を法人に移転する

管理会社を設立し、個人の財産を法人に移すことで相続財産評価額を圧縮する相続税対策法があります。

法人に移した財産は直接の相続税の対象から外れ、代わりにその法人の「株式」が相続財産として評価されます。一般的に、法人が保有する財産の評価額よりも、その法人の株式の評価額の方が低くなることが多いため、結果として相続財産を圧縮できるのです。また、諸費用も法人の経費として計上することができるので、節税が見込めるでしょう。

しかし、資産を法人所有するのはメリットばかりではありません。次のようなデメリットも発生するので、よく考える必要があります。

  • 法人設立には初期費用がかかる
  • 煩雑な経理処理や毎年納付が必要な税金、経費などの維持費が発生する
  • 法人所有になった資産は個人は自由に使えなくなる

【相続開始後】万が一の時にできる3つの対策

ここでは、相続開始後にできる主要な3つの対策を紹介します。注意ポイントについても触れているので、よく理解して対策を検討するようにしましょう。

配偶者の税額軽減(配偶者控除)を最大限活用する

配偶者から財産を相続する場合、最大で1億6,000万円までが非課税になる配偶者控除という強力な制度があります。この制度の条件は下記です。

  • 戸籍上の配偶者であること
  • 相続税の申告期限(10ヶ月以内)までに遺産分割協議が完了していること
  • 相続税申告書を税務署に提出すること

注意点として、配偶者控除を適用するには、たとえ税額が0円であっても相続税申告書を提出する必要があることが挙げられます。

また、この制度は非課税枠が多額であるのが特徴です。配偶者の相続税は低減できても、将来、資産を受け継ぐわが子が多額の相続税納付義務を背負う可能性があるので、二次相続のことも視野に入れておくのがよいでしょう。

参考:国税庁|配偶者の税額の軽減

小規模宅地等の特例を適用する

先の生前対策の項で紹介した小規模宅地等の特例の適用を受けるには、申告書以外に計算明細書、遺産分割協議書など、一定の書類が必要になります。

また、「一軒家が建っている土地を相続する」のが代表的なパターンといえますが、自身の受け継ぐ財産が特例要件にあてはまるかの判断は、要件が非常に複雑なため、専門家への相談が必須となるでしょう。

相続財産を寄付して非課税にする

相続財産の寄付には「遺言による寄付=被相続人が寄付」と「相続財産による寄付=相続人が寄付」があります。後者の場合の特定の公益法人等への寄付は、社会貢献につながるだけでなく、相続人の相続税・所得税の節税対策として有効です。

寄付先相続税所得税
特定の公益法人等非課税(期限内に寄付する必要あり)寄付金控除の対象
上記以外の法人・個人課税寄付金控除の対象外

なお、上記のように、非課税となるのは特定の公益法人等に限ります。具体的な寄付先については、下記リンクを参照ください。

参考:国税庁|相続財産を公益法人などに寄附したとき

相続税対策を始めるべきタイミングと注意点

相続税対策を始めるのは早いに越したことはありません。この記事を目にした今がタイミングといえるでしょう。ここでは、その理由と注意点について解説します。

いつから始める?

相続税対策の一つである生前贈与は、早く始めるほど有利になります。

生前贈与が成立した財産は、被相続人が亡くなる一定期間前まで遡って相続財産に加算されるという制度があります。従来は3年前まででしたが、2024年の改正で7年前まで遡ることになり、相続人にとっては不利な法改正となりました。

ただし、「2024年1月1日以降に行う贈与」が7年の加算対象となります。それ以前に行った贈与は3年ルールのままで、さらに、延長された期間の贈与のうち、最大で100万円は加算されないこととなっています。

例:2028年1月1日に相続が発生した場合 2024年~2027年までの4年間が対象
  2031年1月1日に相続が発生した場合 2024年~2030年までの7年間が対象

やりすぎは禁物!相続税対策の注意点とデメリット

過剰な節税効果の追求は、リスクを伴うので控えるのが賢明です。特に不動産の評価額は税務署に否認されやすく、近年では裁判で判定が覆される事例が多数あります。

また、人間関係の複雑さから、相続人同士のトラブルに発展する可能性も高いので(いわゆる争族)、生前から遺言書の確認や相続人同士で話し合いを進めるなど、円満な相続になるように努めるのが重要です。

相続税対策に関するご相談は二見達彦税理士事務所にお任せください

「相続税対策」とひとことでいっても、自身に合う具体的な方法を知るのは容易ではないでしょう。まず、正しい財産評価をするのが重要です。そこから自身が相続人になる可能性があるのか、どの方法が相続人全員にとって最適なのかを知るのは、専門家のサポートを受けるのが最善といえます。

二見達彦税理士事務所は、専門知識を有するスタッフに加え、相続手続きに必要な専門家とも連携しているので、生前の対策から申告までワンストップで対応可能です。円満な相続にするために、あなたにあった事前の準備と対策プランをご提案いたします。まずは、お気軽に無料相談をご利用ください。

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